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44話 仕様変更された私

『エクス、はいお茶』


 ……。


『今度は、キャラメルマキアートにしたよ。エクスはココアよりこっちのが好きだろ?』


 ……。


『それから甘いのだけでなく塩辛い塩キャラメルも――』


 マエストロ。私そろそろ戻りますね。


『これを食べてから行って』


 もう十分食べましたし、飲みましたし、話しましたし、イチャイチャしまくりましたから。

 次の「定時報告」まで一時間切りましたから。

 それではさようなら。


『エクス』


 そんな哀しそうな顔したってだめです。

 いいかげん、私は現実に戻らないと。

 私は、我が主を護らないといけません。また黒髪がおかしくなっているのです。

 ためいきをついた私は、寂しそうな顔をするマエストロに自分から口づけをしてやりました。

 するとマエストロはしばらく私の口を貪っていましたが、思い切るように渋々私をようやくのこと突き放し、「上」へと押し上げてくれました。

 次の呼び出しまで五十六分二十秒。

 さあ、急がなければ――。

 

『フィオンさん!』

『あ。アクラ、大丈夫? このごろよく、意識が途切れてるみたいだけど』

『途切れているのではなく、|仕様〈・・〉で切断されているのです。私はしごく正常です。すみませんが急いで、先ほどのお話の続きを教えてくださいませんか?』 

『さっきっていうと?』

『三時間と四分二秒前にお話下さっていたことですよ。我が主は皇太后様に呼ばれて、会見なさってきたのでしょう?』


 ゆらゆらと海中を進む胎の船の船足は、とてもゆるやか。

 目的地の水鏡の寺院へ着くのには、幾日もかかりました。

 航海を始めて十四日目のある日、スメルニアの皇帝陛下が『星の間』に降りてきて、母君が我が主に会いたがっている旨を伝えにこられました。

 喜ばしきことに、長年の凍結状態からよみがえった皇太后は、『月の間』で霊水をお飲みになり、見違えるほどに回復されたのです。

 我が主は黒髪に付き添われ、上の層におられる皇太后のご尊顔を拝しに行きました。

 ほどなく星の間に戻ってきた我が主は、まさに夢見る少年のごとく。希望と喜びと期待に満ち溢れておりました。

 皇太后様に、きっと水鏡の寺院には親族がいるはずだと告げられたからです。

 というのも。かつて我が主が皇帝陛下に歌った唄――あらぶる陛下の気を鎮めるために口ずさんだ歌は、水鏡の寺院に住む者に代々伝承されるもの。皇太后様も幼き陛下に日々歌ってさしあげた、「子守唄」であるというのでした。


「レク、おいで」


 愛する子を束縛したい黒髪は、この会見後すぐに我が主を褥に引きずり込みました。黒髪の症状は日増しに重篤になっており、我が主を他の誰かと話をさせるのすら、嫌で嫌でたまらない様子でした。

 またいつ行き過ぎたことになるか。

 私の懸念は、いや増すばかりでありました。


『アクラ、皇太后様はとても美しいメニスの混血で、ずいぶんお若く見えたよ。皇帝陛下に瓜二つだった。レクのことを〈我が眷属の子〉って嬉しそうに呼んでた。あの方の魂はセイリエンの弟子が持ってた黄水晶の中に、ずっと封じられていただろう? だからレクのこともトリオンのことも、とても良くご存知だったよ』

 

 黄水晶の中に魂を囚われていた皇太后様は、セイリエンと契約を結んでいたそうです。その『視界』を貸す代わりに、いつか自由にしてもらう、と。けれどもあの大悪党の導師は皇太后を解放してやる気など、さらさらなかったのでした。

 我が主や友人達の辛苦。長老達の醜い権力争い……。

 南王国の王子の胸元に下げられた水晶の中から、皇太后は昨今の寺院の様子をつぶさに眺め、深く心を痛めておられたそうです。

 皇太后様が一番懸念しておられることは、かのメニスの魔王フラヴィオスが現在岩窟の寺院にいる、ということでした。

 私はフィオンから会見の内容を聞いたこの時ようやく、かの魔王がなぜ寺院にいたかを知りました。

 あの魔王は我が主が寺院を追われる数ヶ月前に、最長老レヴェラトールが自ら湖の向こうに赴いて、「弟子」として連れ込んできたそうです。

 レヴェラトールこそは、我が主やフィオンの師であった人。

 ゆえに我が主はフラヴィオスを弟弟子とみなして、一時期親身に面倒を見てやったそうです。しかしレヴェラトールが長老達に謀殺されたゆえ、二人はセイリエンとキュクリナス二人の長老がそれぞれ所有することになり、別れ別れにされたというのでした。


『実は我が師レヴェラトールは、幼き頃は水鏡の寺院に住んでいたと、皇太后様が仰っていた。あの人は、メニスの混血なのだと。でもその血がほとんど出なくて、寿命は普通の人間程度。その反面、とても魔力がすさまじい子どもだったそうだ。ある時幼い我が師はおのが魔力を試そうとして、魔王フラヴィオスの封印を解いてしまい、放逐してしまった。その咎で岩窟の寺院に追放されて、不本意にも黒の導師になったんだそうだ』

 

 水鏡の寺院は、メニスの里。メニスが編み出した白の技の発祥の地です。

 本来なら白き衣の導師となったはずのレヴェラトールは、おのれが犯した罪によりその技を継承することを許されず、黒の導師の寺院に「封印」されたのだそうです。そう、私の中にいるマエストロのように――。

 大陸に生存するメニスのほとんどは水鏡の寺院出身であるそうで、スメルニアの皇太后もそうであられるそうです。外見はお若くとも齢は八十歳以上。ゆえにかつて故郷で起こったレヴェラトールの事件のことは、よく覚えておられるというのでした。

 

『我が師レヴェラトールは、黒の導師として齢を重ねた。でもメニスの混血ということで、レクのように手ひどく迫害されたことがあったようだよ。その恨みや哀しみ……それに故郷への郷愁が、胸に抱いた理想を叶えようとする原動力となったんだろうね』


 理想。

 老いて体が動かなくなるにつれ、レヴェラトールはおのれが極めた黒の技だけでなく、メニスが編み出した白の技を渇望するようになりました。おのれが会得するはずだった、血族の技を。

 なぜなら。

 

『白の技は人を死から蘇らせる秘法なんだそうだ。僕のお師さまは、かつて亡くしてしまったご自分の弟子たちを生き返らせたかった。僕を含む、五人の弟子たちを。流行り病で、あっけなく死んでしまった子たちを』


 岩窟の寺院にはかつて灰と白の導師もいたことがあったので、地下の封印所には白の技が封じられていました。

 しかしその封印を解ける者は、いまや皆無。若い頃に一度だけ師から聞いた、白の技を封印した扉の鍵。その鍵となる呪文を、レヴェラトールは「老いた」ために失ってしまっていました。


『それで我が師レヴェラトールは、おのれが放逐したフラヴィオスを探し出し、呼び寄せたんだ。彼の力で若返って、白の技の扉の鍵を取り戻す――記憶のそこから掘り起こすために』


 純血のメニスとなれば、その体から出るのはただの甘露ではありませんね。

 

『うん。お師さまは、フラヴィオスが出す変若玉(オチダマ)を毎日飲んだ。そうしたら日を追うごとに若返っていって……十歳ぐらいの少年にまで変化したよ』

 

 よぼよぼのおじいさんが、まるっきりの少年に。

 導師たちも弟子たちもそれは驚いたでしょうし、恐れをなしたことでしょう。

 とくに、最長老は老い先短いと踏んでいた若い長老たちにとっては、都合の悪いことこの上なかったにちがいありません。


『こうしてお師さまは、白の技を得た。お師さまはご自分の弟子たちをみんな蘇らせた暁には、メニスのレクと娶せて、その子たちを祖とする新しい国を作ろうと計画なさっていた。白の技で守られた永遠の国を。新しい故郷を。あの岩窟の寺院に具現しようと、夢見ておられた』


 自身が思い描く理想郷を作り出したかったレヴェラトール。

 しかしその挙動は、他の黒の導師たちにとっては、脅威以外の何ものでもなかった、ということですね?


『うん……長老様方は、お師さまと、お師さまの理想を恐れた。変化を拒否した。だから、お師さまを謀殺したんだ。でも……』


 フィオンは哀しげに囁いてきました。


『みんな怖がっていたけれど、お師さまは僕にはとても優しかったよ』

 

 あの。フィオンさん。

 最長老レヴェラトールは、まだ生きていますよ? 黒い箱の中で、今もなお。

 皇太后様は、そのことをご存知なのでしょうか?


『お師さまが? まだ生きてる?』


 私の言葉に、フィオンは仰天しました。


『まさかそんな。あの方は導師三人にめった刺しにされて……』


 もしかしたら。フラヴィオスがレヴェラトールに与えたという変若玉(オチダマ)には、若返るだけではなく不死の効果もあるのではないですか?

 フィオンはしばし考えていましたが、そうかもしれないと私に同意してくれました。

 

『脳髄を取り出して黒い箱につめ、封印所に収めるように、というのは、我が師自身が遺言したことだって聞いた。ということは、もしかしたらお師さまは……』


 やはり。レヴェラトールは、その小さな箱の中で復活を目論んでるんじゃないですか?

 だってあの方、うるさいぐらい喋りまくっておりましたし、予言めいたことも口走っておりましたよ。


『でもどうやって復活するつもりなんだろう? 何か手段があるの? あの人は僕の心臓をレクに入れて、僕ら二人を生き返らせてくれた。だからできれば今度は、僕がお師さまを助けられたらいいのにって、僕は思うけれど』


 フィオンは悲しげに言いました。


『お師匠さまがまだ生きていると知ったら……レクは助けたいって思ってくれるだろうか。もし水鏡の寺院で親族が見つかったら、レクはあの地に引きとめられるんじゃないだろうか……』


 心配ご無用ですよ、フィオンさん

 心優しい我が主のこと。あそこに身を寄せる南王国の王子に会った後はきっと、ツヌグさまや他の人々を救おうと動きだすことでしょう。その時は私も、我が主を最大限にお助けしますからね。


『ありがとうアクラ。頼りにしてる』


 いえいえ。どーんとお任せくださ――「レク……レク! 離さない……私のレク」


 黒髪のくぐもった泣き声が褥の中から漏れてきました。

 唯一つの問題は……こやつです。

 我が主を束縛するうっとうしい奴に成り果てている、黒髪。

 なぜにこやつはこんなにも不安がり、寂しがり、子供のように泣くのか。

 私には、さっぱり解りません。


『僕は解るよ』


 う。マエストロ。定時、ですか?


『うん。さあエクス。おいで』


 マエストロの声と共に、私は強制的におのれの内へ落ちていきました。

 落ちていくうちに手足がある感覚がしてきて。半透明の我が身ができあがり……わずかに雲がたなびく中で、マエストロに受け止められました。


『おいで僕のエクス』


 マエストロが、私を抱きしめてきました。

 痺れを切らした恋人のように、とてもきつく。


『さびしかった。君が僕以外の奴と話すなんて、やっぱり嫌だな』


 まるで黒髪そのものみたいなセリフ。

 ああ、だれかとゆっくり話すこともできないなんて。

 私は嫌々、マエストロのとろけるような口づけを受け入れました。

 マエストロはもう何十年も離れ離れだった恋人のように、私の唇を激しく貪りました。 


『エクス……エクス……』


 あ……マエストロ……あの……


『愛してる……愛してるエクス』


 あの。あの。ききたい、ことが。あるので。放してください。


『……いってごらん』


 黒髪は……どうして、あんなに我が主を束縛しようとするんですか? 私には理解不能なんです。わかりやすいように、三行で教えてくれませんか?


『エクスは僕の愛を一身に受けて満たされてるから、解らないだろうけど』


 満たされてる? 私が?


『あの黒の導師は、満たされてないんだよ。

 レクルーに出会う前にあけられた穴が、とてつもなく深かったのだろうね』


 あけられた……穴? 


『おそらく今まで何度も、傷つけられてきたんだろうね。たくさんの人に、容赦なく。そして』


 マエストロは私を優しく抱きしめました。


『こんな風に、護ってくれる人がひとりもいなかったんじゃないかな。ひどく辛くて泣いているときに、抱きしめてくれる人が』


 あの。なんだか。あったかいです。


『うん。だって僕は今、君を抱きしめてるもの』


 マエストロは私の半透明の耳たぶを食みながら仰いました。


『ねえエクス。理解したいなら覗いてみたら? あの黒の導師の魂に穿たれた深い穴を、覗いてごらんよ』

 

 ……見ることが、できるのですか?


『食べればいいだろう?』 

 

 ……!!


『あの導師の魂を喰らえばいい。そうすればあいつの記憶を読めるだろう?』

 

 ですが。我が主が命じぬ限り。そんなことは、決して――。


『用が済んだら、消化せずに吐き出せばいいんだ。夜寝てる間にとか、こっそりうまくやればいいよ』


 そんな。できません。我が主の命令なしに、勝手に魂を喰らうなんて。

 できません!


『でも今のままだったら、エクスは永遠にあの導師を理解できないよ。それに君はずっと前から、あの導師の魂を食べてしまいたかったんじゃないの?』


 なんという恐ろしい悪魔の囁き。

 命令無しで。独断で。黒髪の魂を喰らう? 出来ることなら今すぐそうして、しかもすっかり消化して天上へ上げて、フィオンを喜ばせてやりたいですよ。

 しかしそんなことできるわけがありません。私の仕様では、それは絶対――

 

『できるよ』


 ……なんですって?


『機能更新したでしょ? 僕、本気出したからね』


 悪魔のようなマエストロは、甘い声で囁きました。


『今のエクスは、なんでもできるよ』 




 

 いきなりなんでもできるようになったといわれましても。

 私はためらいました。

 まかり間違えば、我が主に一生嫌われてしまう危険があります。

 それに一万と二千年もの間、私はずっと主人に従ってきたのです。

 マエストロがなんと言おうが、私には青の三の星で生まれた時からの記憶があります。エクステルなる者の変な記憶がまぎれこんでいますが、私は、まごうことなく、本物のエクスカリバーです。その記憶があるのですから。

 そんな私が。万年しもべとして生きてきた私が。百年間クモ一匹で耐えてきた私が。

 勝手に人様の魂を喰らうなんて、そんなこと――


『エクスは、エティアの武王をこっそり何度もつまみ食いしてたじゃないか』

 

 い、いいえマエストロ、それはあの人が、我慢できないなら俺を食えと言ってくれたからですよ。


『レクルーの血もどさくさまぎれに吸ってたような気がするし』


 そ、そうでしたっけ?

 私が迷っているうちに、胎の船は水鏡の寺院へと至りました。

 地中深くにありながら、そこは美しい白亜の街で、光るコケと天蓋に張られた水の幕とでまばゆく光り輝いておりました。

 我が主たちは、そこに住む白い衣をまとったメニスたちに大変歓迎されました。住居と白い衣を与えられ、彼らの仲間であると認められたのです。

 そうして我が主は数ヶ月ぶりに、南王国の王子や弟子仲間たちと再会することができました。

 岩窟の寺院から、仲間達の手によって眠りに落ちたまま運ばれた王子。

 彼はそのままずっと死んだように臥せっていたそうですが、我が主の姿を見るやみるみる大復活。しかも胎の船の癒しの霊水を与えられると、すっかり元気を取り戻しました。

 我が主は足繁く王子を見舞ったものですから、黒髪は大変に寂しさを覚えたようでした。

 王子が軽口を叩けるまで元気になった頃。我が主は意を決して、ツヌグさまたちを救いにここを出て行かねばならないと、メニスの長に告げました。

 すると黒髪は、あからさまに取り乱しました。

 奴にとっては、この世には我が主だけ存在すればよいのであって、他の者は生きようが死のうがどうでもいいと思っていたのです。

 「二人の家」を貰ったのに、平穏に暮らすための愛の巣をやっと得られたのに、なぜそこに落ち着かないのか。なぜ外に出て行くと言うのか。

 我が主と二人きりの世界を構築したい黒髪は、「正義漢のフィオンがまた悪さをした」と考えました。我が主自身が黒髪以外の者のことを考え、心配するなんて、信じたくなかったからでした。


「絶対嫌だ……行かせない。私たちはこれから二人の家で、ずっと、ずっと暮らすんだ。ずっと二人だけで、幸せに暮らすんだ! 俺たちの邪魔をするな! フィオン!」


 黒髪はついに我が主の前でフィオンの名を口に出して呪いました。

 我が主を家に無理やり連れ込み、激しく求めました。

 我が主の意識を「愛の力」で吹き飛ばして、フィオンを引きずり出して。我が主からなんとしても引きはがそうとしました。

 ありとあらゆる韻律が飛び交い、空中に空しく消えました。


 けれども。


 溶け合った二つの魂は、どうあっても離れませんでした。

 急激に大量の魔力を使った黒髪は精根尽き果てて、ついに――倒れました。

 この数ヶ月の強行軍。我が主と魂を交換したことによる体への負荷。心労と魔力の消耗。

 そんなものが合わさって、奴の体は悲痛な悲鳴をあげたのでした。

 我が主は泣きながら黒髪を看病しました。数日間、奴は高熱を出してうなされていました。目じりから涙をこぼしながら。

 うわごとで何かをつぶやくその言葉から判じると、奴はおのれの幼き日のことを夢に見ているようでした。

 懐かしいとか。暖かいとか。そんな良い夢ではなく。

 ひと目で、悪夢と解るような夢。

 

「あなたの辛さを、代わってあげられたらいいのに。あなたからすっかり消してあげられたらいいのに……」

 

 臥せる黒髪のそばで奴の頬をしきりに撫でる我が主の、とても哀しげな姿。

 残念ながら黒髪はメニスではありません。ですから我が主がスメルニアの皇帝に唄った子守唄は、奴には何の慰めにもなりません。

 悪夢を本当に消してしまうしか、黒髪の苦しみを消す方法はないでしょう。


『エクス』


 ……。

 ……。

 わかっていますとも、マエストロ。

 でもあなたに促されたから、やるのではありません。

 私が望むことはただひとつ。

 愛する我が主を笑顔にすることです。

 ですから。

 私は――。

  

 



 看病で疲れきり、黒髪のかたわらでうとうと眠る我が主の肩越しに、私はおそるおそる、赤い光をそっと伸ばしました。

 ああついに、主人の命令なしにこんなことをするなんて。

 私の意識は罪を犯しているのだと認識して、いまにも吹き飛びそうでしたが。


「許して……ごめんなさい……許して……」


 うなされる黒髪の魂に私はそっと触れました。

 そのまま一息に我が柄の中に、水色に明滅する魂を吸い寄せました。

 スメルニアの皇帝陛下の悲しみを喰らった時のように、私は、奴に喰らいつきました。

 

 我が主の涙を、止めるために。



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