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その五

 そんなころ、私は胸騒ぎがして、小野寺の携帯電話にかけていた。

 10回以上コール音が鳴り響いても、小野寺は出ない。あんな性格の小野寺のことだ、絶対にすぐに気付いて謝りながら出る…


(まさか…!!)



 私は最悪の結果を想像した。


 小野寺と一緒に帰ったはずの智美がつかまり、一緒にいた小野寺も一緒につかまってしまったとしたら…


 一大事だ!!(智美が!)


 私は知り合いの知り合いの知り合いの知り合いのある人物に電話した。

 この人物には、幾度となく智美がらみのことで助けてもらっている。


「濡川警部?」


『あれ?ミチルさんどうしたんですか?』


 濡川秋雨ヌレガワ シュンウ私が智美のストーカーを倒した時におせわになった刑事だ。

 前は刑事だったが、今は警部に昇進している。

 相変わらずアニオタだが、


「ちょっとやばいかもしんなくって、すぐ来てくれない?」


『え?いいですよ、もう今日は帰るとこですから。』


 私はメイド喫茶の場所を伝え、電話を切り、自分もメイド喫茶に向かった。


「あっ!こっちこっち!!」


「あ、ミチルさん。ここだったんですね。メイド喫s」「そんな事より、智美がさらわれたかもしんないの!!」


「なっなんですってぇぇ!」


 濡川は周りの通行人が振り返るくらいすごい声で叫んだ。

 濡川はアニオタであり、智美のファンでもあるのだ。

 智美の名前を出せば、こいつは簡単に協力してくれる。


「とっとりあえず、智美さんの携帯にはGPSか何かがついてますか?」


「ついてないと思う…あっでも、小野寺のにならついてるよ」


「小野寺?誰です?」


「何でもいいから、小野寺の携帯のGPSの場所を調べてよ!!」


「あっ、はっはい。」


 濡川がGPSの場所を調べ、私たちは近くの貸し倉庫に二人が居ることを突き止めた。貸し倉庫の前に着き、濡川が中をうかがい、扉を蹴破った。

 こいつは軟弱そうにしているが、強いのだ。


「警察です!すぐに誘拐している少女を解放しなさい!!」


 数人の男がギョッとこっちを見て、群れを成していたところからこちらに拳銃を向けた。濡川も拳銃を男どもに向ける。


「私は自慢でしかありませんが、拳銃のうでは県警一だとj」


「自慢はいいから隙を作ってよ!!」


 濡川の自慢話に怒りをむき出しにそう私が叫ぶと、濡川は拳銃を持っている男の足元をピンポイントで狙い打った。

 男どもがひるんだ隙に私が左翼に突っ込んだ。

 動揺しきって拳銃を取り落としたり大忙しの男どもを無視して、私はメイド服の人影に向かって突進した。


「小野寺!」


「$%’#’&%()%$’&$%!!」


「智美は?一緒だったでしょ?」


「こんちくしょぉぉぉ!!」


 小野寺を問い詰めるのに忙しかった私はバットを振り上げた男に気付かず、一気にバットが巨大化…しなかった。


 バキッ


 振り下ろされる前に、濡川がほとんど飛びながらのかかと落としが直撃した。


 男は昏倒して横倒れになる。濡川がしりもちをついて着地する。


「いてて、やっぱりこの技は未完成でした…」


 頭をかきながらそういう濡川を見て、一気に緊張が解けた私は小野寺の猿轡と紐を解き、ぺたんと座り込んだ。


「…智美は?」


「居ないよ、僕だけ。」


「「ええ!?」」


 私と濡川が同時に叫ぶ、気持ちとしては、私はどこに智美はさらわれとんじゃ!で、濡川はただ働きぃ!?だったが。


「永崎さんを送り届けてから襲われたんだよ。助けてくれてありがとう。」


「…………」



絶句。



「…みっミチルさん?」


 濡川が私は呆然と呼ぶ声で我返る。



「なっ…

 なんじゃそりゃぁぁぁぁぁ!!」


 私はやり場のない怒りを小野寺やら濡川で発散し、念のため智美に連絡を取った。


『はいはーいなぁに?ミチル?』


「智美?今どこ?」


『えぇ?ん?ミチルの声が聞こえるよ?』


「え?!」


 倉庫を飛び出すと、コンビニ帰りの智美が突っ立っていた。


「あれ?ミチル、どうしたんこんな時間に?」


「あっ!智美さん!」


 声を聞きつけた濡川が顔を出す。


「わぁ〜!濡川さぁ〜ん!!」


 智美が満面の笑みで濡川を見上げる。


「よかったぁ、無事だったんですね。」


「なにが?私、濡川さんに言われたとおり、ちゃんと防犯してるんだよ??」


「それはとってもえらいですね♪」


 嬉々と喋っている二人。言い忘れていたが、この二人は相思相愛、つまり付き合っているのだ。


「…………」


 この状況を影から見て絶句している小野寺。


「…そういうわけなんだけど…?」


 いたたまれなくなってそう言った私だったが、小野寺の目が死んでる!!







 翌日、小野寺は学校を休んだ。

 一応昨日誘拐されたわけだし、休んでも当然なのだが、小野寺が休んだ最大の理由は「失恋」したことだった。


(…ヘビー級の悲しみ…)


 あんな形で失恋するなんて…

 告白して散るならまだしも、思いも伝えらないまま終わるなんて・・・


「てか僕さぁ…」


 なんで失恋した程度学校休んでるんだよ!

 あまりにも自分が女々しすぎて自己嫌悪に陥る…


(きっとそれを知ったらみんな馬鹿にするよね…もう…学校にいk)


 ピーンポーン


 小野寺の思考は訪問者のチャイムで断ち切られた。


「飛鳥ー?後輩の人がお見舞いに来てくれたわよ?」


 後輩?

 小野寺は部活も委員会もやってない。

 後輩なんて居る筈もないのだが…


「小野寺せんぱーい?お詫びに来たよ〜?」


「!?お母さん、通してあげて!」


 小野寺邸を訪れたのはミチルだった。


「…ごめんなさい!!」


「え?!」


 ミチルは小野寺の部屋に通されるのと同時ぐらいに土下座した。

 いきなりの謝罪に小野寺が戦いてると、ミチルは頭を下げたまま続けた。


「私が浅はかだった!先輩の気持ちを知っておきながらその気持ちに漬け込むようなことして…」


 少しの間があってミチルが一度顔を上げた。


「本当にゴメンなさい!!」


 小野寺はそう言ったときのミチルの顔を見てハッとした。涙を目にためながら歯を食いしばって涙をこぼさないようにしている。


「僕こそゴメン…休んだりしたら気を使わせちゃうようね?」


「………」


 ミチルは頭を下げたままなので、表情は読み取れないが、


ポタッポタッ


 床に涙がこぼれている。


「先輩、お人よし過ぎだし…」


 ぎこちないが笑いながらミチルが顔を上げ、その拍子に涙が頬をぬらしていく。


「ゴメンね、お見舞い来てくれてありがとう、そうだ!今なんかもって来る!」


 その笑顔を見たとたんの安堵と胸の痛みの正体を、

 小野寺はこのとき知る由もない。



お読み頂有難う御座います。


なんかおちが良くわかんないですね…


ほんとはいろいろと考えた落ちの中でこれを使ったのですが…


やっぱイマイチ…


精進します!!


これはブログ時代の初のリクエストものなのですが…

感想や駄目だししていただけると幸いです。


これからまたリクがあるまで長編を書きたいと思います。


ここまでお読みくださって皆様に心より感謝いたします。


因にリクエストはみたらし団子だったと思います

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