これからが本番
もう、麗奈の気持ちは痛いほどに理解した。だから、この勝負に勝とうが負けようが、俺には既に麗奈の事を必要以上に過保護に庇い、後方に置く意思は無い。・・・そりゃそうだよな、俺と麗奈は対等の存在であると、すっと昔からお互いそう思ってきた。お互い、全く違う短所と長所を持っていて、二人で支えあって生きてきた。なのに、こんなゲームに参加させられて、そして俺はこのゲームで死ぬと、現実でも命を落とす。・・・・・・それが原因か?俺はもしかしたら、心の奥底で、『麗奈よりもリスクを背負っているから彼女より立場が上だ』なんて考えていたのかも知れない。
・・・笑えるよな、俺が死んだら麗奈も死ぬ。『自殺するからね』というあの言葉が、紛れもない本気の言葉だったことを理解しておきながら、何がリスクを背負っているだよ。本当に俺は馬鹿だ。そもそも、命のリスクを背負っているのは皆同じなんだ。結衣だって、レオンだって、他のゲームみたいに死んでも復活するわけじゃ無い。NPCだからなんだっていうんだ?こんなに感情を持っているこの世界の住人は、既に人間と同じだ。全員同じなのに、俺は一体何を勘違いしていたのか?
俺と麗奈は対等。恋人であり相棒である。一人が崖から落ちそうになったら命を掛けて助け、それが不可能なら自分も一緒に飛び降りる。・・・そんな歪んだ関係だ。だが、俺たちはそれを嫌だとは思っていない。他人からどう思われようとも、それが俺たちの常識だ。
それを忘れかけていたのだから、麗奈がここまで怒るのも無理はない。
・・・が!
それと今の状況は話が別だ。俺と麗奈は対等。ならば今の状況は何だ!?一方的にやられ続け、気が付けば俺の体力は半分以下。なのに彼女の体力は数ドットも減っては居ない。
これじゃ駄目だ。このまま終わったんじゃ、俺は麗奈と対等だと心から叫ぶ事が出来なくなる!このまま負けたんじゃ、相棒としても彼氏としても格好悪すぎるだろ!情けなさすぎるだろ!
だから!この状況を覆す可能性のある物なら、何でも使ってやる!
口を開けば、濁流と化した土砂が流れ込んでくる。これによって窒息したりすることはなく、喉に入る前に消滅している。
どうやら、さっき麗奈が撃った弾は、攻撃用の弾じゃなくて地形変化用の特殊弾だってことか?・・・溺れないのは有難いが、この流れの中では体制を整えることも難しいし、口に入ってくる土砂が鬱陶しい!・・・でも、どうやら時間制限が来たようで、流れが段々と緩やかになってきていた。
「今度は俺の番だな!何か来やがれ!”式神召喚”!」
ポーン♪
『スキル”式神召喚”で召喚出来る式神は、現在一体です。召喚しますか?YES/NO』
迷わずYESを押し込む。
『吸血鬼Lv1を召喚します。称号【真祖を継ぐ者】により、なつき度を無視して絶対服従の精神状態になります。この状態では、全ステータスが一割上昇します。』
辺りを包んでいた光が消え去ると、そこには・・・・・・
短いけど、もう少し待って下さい。働いてる店の副店長も移転することになって、バタバタと忙しいんです。
・・・こんな短期間に三人も居なくなるとかどんな状況だよ・・・