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怖いんだ

「うわぁ・・・・・・。また極端な方向に進化しましたね銀狐さん。」


「うるせぇ・・・。」


 結衣が麗奈を連れ去ってしまったのでやることが無くなってしまった俺。昨日の事を説明してから謝ろうと思っていたんだが、それは空振りに終わった。


 そしたら、レオンが結衣の行動の原因は俺達にあると教えてくれた。どうやら、モジモジしている俺たちが鬱陶しくなったらしい。・・・まあ、アイツなりに心配もしてくれたんだろう。


 で、喧嘩の原因は何ですかって聞かれて、別に喧嘩している訳じゃないんだけどと思いながらも、昨夜の原因になった、新スキルや新称号を見せているのだ。


 ・・・・・・いや、レオンがこう言いたくなる気持ちも分かるよ?俺も、あのあと確認した時に思ったもん。


――――――――――――――――――――――


・称号【真祖を滅した者】


・効果:所持している全ての称号効果を常時発動させる


・鬼の頂点に立つ真祖を滅した者へ贈られる称号。



――――――――――――――――――――――


 ・・・これは良い。普通に強い称号だ。俺は今まで、状況に応じて称号を付け替えてきた。普段は【神崎神刀流門下生】を付けて新しいスキルを覚えようとし、経験値が溜まってレベルが上がりそうな時には【PKK】を付けてSPを大量にゲットしようとした。強敵と戦う時には【雷を纏う者】を付けて俺の持つ中で最強のスキル”神衣:黄神威”を使いやすくした。


 だが、この【真祖を滅した者】を付ければその苦労も終わる。ただ単に付け替える面倒臭さが無くなっただけじゃない。各称号のステータスアップの効果も、全てを一度に受けることが出来るのだ。単純だが、所持している称号の数が多ければ多いほど効果を増す、強力な称号だった。


 ・・・・・・だが、問題はもう一つだ。



―――――――――――――――――――――――


・称号【真祖を継ぐ者】(常時効果発動)


・効果:鬼と名のつく全てを支配し、使役することが出来る。12時間毎に血液を一定量補充しなければ、ステータスの低下と状態異常【吸血中毒】発動。この状態異常は吸血以外で治療することは不可能。


・鬼の頂点に立つ真祖を継ぐ者へ与えられる称号。



――――――――――――――――――――――――



 ・・・強力だ。間違いなく強力な称号だ。だが、血を摂取しなければステータス低下に、更に昨夜のように正気を失いかけるというのは、デメリットとして痛すぎるだろう?


 あの時は、何とか自制して麗奈を襲わずに済んだ。・・・だが、もうその手は使えない。何故なら、自分の血を飲んでも満足しないからだ。


 試しに、もう一度自分の血を飲んでみたんだが、だんだん効果が薄くなっていくのを感じる。恐らく、自分の血を飲んで【吸血中毒】を抑えるという方法は、あと数回使えるかどうかだろう。それを超えてしまえば、俺は誰彼構わず襲いかかる化け物になってしまうかも知れない。・・・麗奈にですら、襲いかかるかも知れないのだ。


「俺は、自分が恐ろしい。段々自分が自分じゃなくなってしまっているような気がするんだ。化け物に・・・あの、天津京香に近づいているような感覚がする。俺も、何時か人の血を吸い尽くして殺してしまうんじゃないかと・・・仲間の、麗奈の血を吸い尽くしてしまうんじゃないかって不安なんだ。」


「そんな事、あるわけないじゃないですか。・・・それに、血液なら、僕たちから摂取すればいいじゃないですか。一定量摂取すれば【吸血中毒】にはならないんでしょ?何を心配することがあるんですか?」


 俺の言葉を否定するレオン。


「分かってる。理屈ではそうすればいいだけだって分かってるんだよ。・・・でもな、怖いんだよ。俺は、自分の血を、美味しいと感じたんだ。同時に、麗奈の血はどんな味がするんだろうって考えてしまった。結衣の血は?レオンの血は?どんな味がするのか・・・・・・味わいたい、食い尽くしたいって、思ってしまったんだよ!」


 叫んだ俺の声は、食堂に響いた。レオンは、何とも言えない顔で俯いている。


「・・・スミマセン。貴方がそんなに苦しんでいるとは思わなかった。」


「・・・良いんだ。お前が悪い訳じゃない。・・・俺が、ただ不安がっているだけだ。・・・なぁ、俺、お前たちと一緒にいない方がいいんじゃ・・・。」


「そんなこと・・・!」


「そこまでよ!」


 レオンが何かを言いかけた時、突如として食堂の扉が開いた。そこには・・・

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