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僕が考えた最強のモンスター

「皆、結衣を中心に攻めるぞ!援護を頼む!」


 俺はそう叫んで、既に走り出していた結衣の隣に並んで走る。そして、スキルを発動する。


「”脚力強化の呪”!”筋力強化の呪”!”防御力強化の呪”!」


 結衣の足に羽の紋章、腕に刀の紋章、胸の辺りに盾の紋章が現れ、体に吸い込めれるようにして消える。これらのスキルは、【神衣剣士】で新しく覚えたスキルで、それぞれのステータスを30秒間5%も上昇させるという、かなり強力なスキルなんだ。


 俺と結衣は敵を挟撃出来るように位置取りをしながら走る。ステータスが上昇して早くなった結衣が、俺より早く敵への攻撃可能範囲に入った。だが、それは敵の攻撃範囲であることも意味する。


「”カースバインド”!」


 敵の手から黒い茨のような物が何十本も伸びて結衣に襲いかかる。


「”霞楼”!」


 結衣が叫ぶが、あれだけの本数がある攻撃を一度無効化したくらいでは意味がない。・・・普通なら。


「今の私はチートモードです。勝てると思わないほうがいいですよ!」


 結衣の体を、何度も黒い茨が攻撃しているが、そのどれもが”霞楼”によって無効化される。


「貴方が変身なんて卑怯な真似をするから悪いんですからね!【神崎神刀流】は神の敵を滅する為の剣術です。悪を滅ぼすためには容赦しませんよ!」


 変身により敵のスキルに【暗黒】が追加された為、結衣は無双状態に入っている。【天空の使者】により霊力が自動で回復し、【闇の天敵】によって全ステータスが2倍になった結衣を、敵は止められない。


「”神風”!」


 最早見切れない程の速さで振るわれる”神風”を胸に受け、苦悶する吸血鬼。後退しようとするも、俺がそんなの許さない。


「”縮地”!」


 ”連撃”の後に覚えた戦士系のスキル”縮地”によって、一瞬で敵の背後に回る。このスキルは10メートル程の距離を一瞬で移動出来るが、真っ直ぐにしか移動できないスキルだ。だが、不意打ちにはもってこい。


「・・・っ!しまった!」


「”斬烈”!」


 ”斬烈”を敵の首を狙って発動させる。このスキルは、”当たった部位を必ず切り落とす”スキル。つまり、一撃死ポイントである首に当てることが出来れば、残り体力に関係無く必ず殺す事が出来るということを数日前に発見したのだ。 


「”霧化”!」


 だが、俺の放った攻撃は空を切った。”斬烈”が当たる瞬間、敵の体が霧となったからだ。恐らく、物理攻撃を無効化するスキルだと思う。


「・・・チッ、”縮地”!」


 千載一遇のチャンスを逃した俺は反撃を警戒して直ぐにその場を離れた。すると、一瞬前まで俺が居た場所の地面を、巨大な鎌が抉りとっていた。


「少しはやるようだな・・・。」


 霧になった状態のまま、3メートルはあるだろう巨大な鎌を肩に担ぐ吸血鬼。


「・・・マジかよ。ずっとそのまま?」


 敵の体は霧になった状態のままだ。しかも、体力ゲージが少しずつ回復している。


「・・・最悪ね。『リザレクション』に『攻撃無効化能力』、おまけに『体力自動回復』まで持っているとか、バランス崩壊にも程があるでしょ。」


 と麗奈が文句を言うと、


「オマケに、あの鎌には”低確率即死”まで付与されてますし、敵のステータスも高すぎです。・・・これは、キツイ戦いになりますね。」


 恐らく、【鑑定士】のスキルで敵のステータスとスキルを見たんだろう。・・・でも、コイツ・・・


「・・・はっ・・・・・・。何だその『僕が考えた最強のモンスター』みたいな能力は?物理攻撃を無効化する上に体力も常時回復して、即死攻撃まで持ってるだと?可笑しいだろそれ。こんな所で出る敵じゃねぇよ。」


 あまりに敵が強すぎて笑いが出てくる。最初の街の最初の塔で出てくるレベルの敵じゃないだろ。バランス崩壊しまくってるぞ。


「でも、全く攻撃が効かない訳じゃ有りません。属性攻撃ならダメージは入りますし、回復能力も高くは有りません!頑張りましょう!」


 レオンが叫ぶ。


「当たり前だ。この程度で諦めたりしねぇよ!この程度の敵なら、飽きるほど見てきたんだ。」


「そうね。『アポカクテイ』とかに比べたらこんなのどうってことないわよ。」


 麗奈の言葉に、俺のトラウマが蘇る。それは以前やっていたVRMMOで、全てのプレイヤーから最も嫌われたであろうボス。体力が多い上に3回の『リザレクション』を持ち、その度に強くなるボスだった。最終的には、体力満タン状態でも一撃死するほどの攻撃力に、アホみたいに高い防御力、更には体力微回復を持つ恐ろしいモンスターだった。奴の攻略にトッププレイヤーが150人参加し、最終的に生き残ったのは10人だった程。


「・・・あぁ・・・・・・。確かに、奴に比べればこんな雑魚どうってこと無いな。」


 奴と比べると大抵の敵は雑魚に見えてくる。俺は随分と気が楽になった感じがした。


「貴様ら、言わせておけば・・・!俺が雑魚だと・・・!?」


 今まで黙って聞いていた吸血鬼が怒りに震えている・・・らしい。霧になったままだから、表情とか見えないが、声は凄く怒っているようだ。


「そんなに死にたいなら直ぐに殺してやろう!その後で全ての血を吸い尽くしてやるわ!」


そろそろ第一章が終わります。そしたら、主要人物達のステータスや使っているスキルなどの説明を投降します。


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