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怨敵との再会

「あ・・・・・・ぁあああ・・・あぁぁああ!!」


「麗奈さん!?どうしたんですか!?麗奈さん!?」


「しっかりして!銀狐さん、麗奈さんが!麗奈さんが!」


 麗奈が取り乱しているのは見れば分かる。・・・でも、俺には麗奈を気遣える程の精神的余裕は無かった。それは、彼女と同じように恐怖からではなく・・・寧ろ逆。俺は、嬉しかったのだ。


「あぁ・・・やっと会えたな・・・・・・!俺は、お前を殺したくて殺したくてたまらなかったんだよ!!」


「アァ・・・?ドコカデアッタカ・・・?」


 あぁ、間違いない。アイツだ。光を吸い込むかのような漆黒のローブ、金属を擦り合わせたかのような甲高い声・・・。あの時、先輩も同僚も友達も社長も・・・俺と麗奈のこれからの人生も、全てを等しく無慈悲に奪い去ったアイツだ!


 あまりの歓喜によって体が震える。後ろで結衣やレオンが何か叫んでいるが聞こえない。今、俺の意識にいるのはあの怪物のみ。


「正直、何でこのゲームに居るのかとか、どうして宝箱から出てきたのかとか、何で先輩達を殺したのかとか、聞きたいことは沢山あるけどよぉ・・・。」


 今はそんな些細な事・・・・どうでもいい。コイツを殺せれば、他には何も要らない!


「麗奈を泣かせて、怖がらせた罪は、何よりも重いんだよ!!!!」


 ”神衣:赤神威”!


 炎となった俺が走り出す瞬間、確かに声が聴こえた気がした・・・。


「銀狐!絶対に勝って!先輩達の仇を!」


「あったりまえだぁ!!!」


 その叫びに押し出されるように、俺は飛び出した!


「ソンナニシニタイノカ。ナラコロシテヤロウ。」


 俺が射程距離まであと一歩の所まで迫ったとき、敵が拳法のような構えを取った。でも、今更止まれねぇ、止まる気もねぇ!


「叩っ切る!」


 大上段に構えた刀を思いっきり振り下ろす。すると、敵は一歩横にズレ、攻撃範囲から逃れると同時に、片腕をまるで蛇の様に俺の腕に絡めてきた。炎となった、実体がないはずの腕に!


「なっ・・・!」


「アマイナ。」


 ゴキッという鈍い音と共に、俺の腕が折れた。


「コンナモノカ?」


 そのまま俺の腕を掴んで投げ飛ばした奴は、空中にいる俺に追撃をかけようと飛んできた。


「くっ・・・!」


 ヤバイ、まともに体勢も戻せない!そして、そのままヤツの拳が俺の腹に吸い込まれると思われた時・・・


「させると思いますか?”禊結界みそぎけっかい”!」


「”ホーリーレイン”!」


 ヤツの拳は即座に展開された結衣の結界が防ぎ、空から降り注ぐ光の雨が、ヤツの体を貫いた!


「グッ・・・!」


 俺は着地に失敗して地面を転がる羽目になったが、ヤツはその驚異の身体能力を駆使して体勢を立て直し、軽やかに着地した。


「がっ・・・は・・・・・・!」


 俺は地面に叩きつけられた衝撃と、腕の痛みで呻くことしか出来なかった。だが、根性で立ち上がろうとする。どうしても、アイツを殺したかったからだ。だが、そこに結衣とレオン、そして麗奈がヤツを警戒しながらも集まってくる。


「じっとしていて下さい。今回復しますから。・・・”精霊の祝福”。」


 俺の折れた腕が修復されていく。体の痛みも徐々に緩和されてきた。ヤツは先程の奇襲を警戒しているのか、少し離れた場所からその様子を見ている。


「終わりました。気を付けて下さいよ銀狐さん。貴方一人で倒せる相手じゃ・・・。」


「そんなの関係ねぇんだよ!」


 レオンの言葉を、俺の叫びが打ち消した。レオンはビックリした顔で俺の事を見ているが、この時の俺は怒りで全く周りが見えておらず、それに気がつく事が出来なかった。


「何で手を出した!アレは俺の獲物だ!!絶対に俺が倒さなきゃいけないんだ!アイツのせいで俺たちは人生を狂わされた。アイツのせいで俺たちは大切な人たちを失った!だから、だから・・・!」


 パァン・・・!と、広間に高い音が響きわたった。俺は、叩かれてヒリヒリする頬を無意識に撫でる(少し前に赤神威の効果は切れている)。


 俺を叩いたのは結衣だった。彼女は瞳に涙を浮かべる・・・事は無く、笑顔で物凄く怒っていた。それはもう、それまで抱いていた怒りが全て吹き飛ぶほどに怒っていた。彼女の後ろに鬼が幻視出来るほどに怒っていた。俺は我に帰って、結衣の顔を見つめる。


「・・・何があったのかは知りませんがね、貴方も麗奈さんも、私達の事を馬鹿にしているんですか?・・・私達って、仲間じゃないんですか?大切な仲間が悲しんで、苦しんでいたら助けたいと思うのが普通じゃありませんか?なのに、貴方たちはまるで私達なんて存在しないかのように二人だけの世界に入って、二人だけで突っ走って。私達がどれだけ心配したと思っているんですか?」


 警戒を続けながらレオンも頷いている。よく見ると、彼の顔にも血管が浮き出ていて、温厚な彼をも怒らせる程に俺たちは馬鹿な事をやっていたんだと分かった。


 麗奈を見ると、その頬は少しだけ赤く腫れていて、どうやら俺と同じ事をされたようだった。でも、麗奈は微笑んでいる。


「銀狐、私達、馬鹿だったね。」


 その笑顔に釣られて俺も苦笑する。


「確かにな・・・。こんなに頼りになる仲間が居るっていうのに、どうかしていたようだ。」


 二人揃って結衣とレオンに頭を下げる。


『御免なさい。』


 すると、二人とも苦笑して、先程までの怒りが熱を下げるのが分かった。


『これからは気を付けて下さいね。』


 俺たちは、今本当の意味でチームになった。俺と麗奈二人の世界に、結衣とレオンという仲間が入ってきた。今ならもう、誰にも負ける気がしない。だから・・・。


「終わらせようぜ化け物。お前を切って、俺は過去の呪縛を断ち切る。」


 今までの攻防は序盤だ。これから、本当の戦いが始まるぜ?










『へぇ・・・。あいつの精神力が物凄く高くなった。だから人間っていうのは侮れないし面白い。・・・今のアイツなら、これくらい使いこなせるだろう。強くなった選別だ、持って行け。』




 ポーン♪

『【神衣の水干(すいかん)】がLv2に上昇しました。スキル”式神登録”を習得しました』

『【神衣の緋袴(ひばかま)】がLv2に上昇しました。スキル”式神召喚”を習得しました』


装備が進化するっていう設定覚えている人どの位居るんでしょうね?作者もすっかり忘れてましたが。

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