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新たなクエスト追加!・・・・・・え、もうクリアしてる?

 俺たちは今、どうやって塔を攻略しようか話し合っていた。理由は簡単で、天津京香が無差別PKを開始したからだった。


 塔を攻略した人間全員に与えられる特権の一つに、『PKを仕掛けられない』というのがある。これは、自分からはPKを仕掛けることが出来るけど、敵からはPKを仕掛けられないという反則級の特権だった。


 つまり、天津京香が自分を狙っているのが分かっていても、彼女が攻撃してくるまで、こちらからは攻撃出来ないということだ。


 更に、どうやら彼女は特殊なスキルや称号を持っているようで、まるで傀儡のように彼女に付き従う人間が現れたのだ。一度そいつらと出会ったことがあるが、誰も生気を感じなかった。


 だから、早急に塔を攻略する必要があるのだ。俺たちも、彼女と同じ特権を得なければ何時PKされるか分からない。でも、それには一つ問題があった。


「私達のPT限界時間が問題です。」


「そうだな。塔を攻略するのに一時間じゃ絶対足りない。どうにかしてこの時間制限を無くすことは出来ないのか・・・?」


 そう、NPCの時間制限が問題だった。塔は、全部で100階層あるらしい。更に、10階層毎に転送装置が設定されていて、行った階層からしか次に進めないのだ。つまり、15階層まで行くことが出来て、何らかの方法で脱出しても、次に始める時は10階層から始めなければいけないってことだ。俺たち以外のプレイヤーも、天津京香のPKから逃れるには塔の攻略しかないと思ったらしく、既に何組みかのPTが攻略を開始しているため、時間を無駄には出来ない。


「どうしよう。銀狐・・・。」


 麗奈が不安げに聞いてくるが、俺にも対処方法は分からない。今更他のプレイヤーを仲間にするのは全員反対なのだ。この街では誰も信用してはならない。誰が、何時どのような方法で俺たちの命や財産を狙ってくるか分からないんだから。







 会議を始めてから一時間程経った時、突然ポーン♪と音がした。そして、目の前にウインドウが現れる。そこには、久しぶりに見たオッサン・・・東条光一が映っていた。


『やあ、皆久しぶり。まさか、こんな短時間で塔を攻略する人間が現れるとは僕も予想外だったよ。でも、そのせいでPKに怯えている人も多いんじゃないかな?』


 ヘラヘラと笑いながら喋り続けるオッサン。


『そんな君たちに朗報だ。今から、特別クエストを開始する。そのクエストをクリアすると、ギルドを作ることが出来るようになるよ。そして、そのギルドにはNPCも参加することが出来る。』


「何だと!」


 俺は思わず叫んでいた。オッサンの言いたいことが、何となく分かったからだ。これはつまり・・・


『そして、ギルドに所属したNPCは、PT限界時間が消える。しかし、その代償として、そのNPCのクエストは、所属しているギルド員しか受けられなくなる!』


「そういうことか・・・。」


「え、何?銀狐、どういうこと?」


「NPCのPT限界時間って、何のために存在するのか今まで考えていた。その答えがこれだ。つまり、一つのPTとずっと行動を共にしていたら、他の人間はそのNPCのクエストを受けられなくなるよな?それを回避するための方法だったんだ。」


『じゃあ、諸君の健闘を祈ってるよ!』


 オッサンがモニターから消えると、モニターに新たに文字列が追加された。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


GMゲームマスターから、新たなクエストが追加されました』


『クエスト【ギルド】が発生しました』 


・クエスト条件:特殊イベントクエスト


・クエスト内容:中央広場のギルド館の職員へ1000000Gの納入


・期限:無し


・クエスト報酬:ギルド設立


『クエストを受理しますか?YES/NO』



―――――――――――――――――――――――――――――――――――


「え、百万Gって・・・既に持ってるよね?」


 ゾンビ共を乱獲していた俺たちは、いらないアイテムを売った金で、既に三百万G持っていた。


 新たなクエストは、俺たちにはとても楽勝なクエストだったのだった。

感想も待ってますよ!

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