転職完了
「ところで、どうして麗奈が此処にいるんだ・・・?」
約1年ぶりに麗奈を思う存分抱きしめた俺は、気になっていたことを質問した。本当は抱きしめるだけじゃ全然足りなかったけど、結衣が真っ赤な顔で此方を睨んでいるので自重した。
(これ以上抱きしめてたら止まれないしな・・・)
恐らく同じ事を考えている麗奈も、顔を赤くしながら答えてくれた。
「私は、【ブライト・アームズ】の社長に、この世界に入れて欲しいって頼み込んだの。」
その言葉は、俺を仰天させるには十分な威力を持っていた。
「なっ・・・!・・・じゃあ、お前も体力が零になったら・・・。」
死んでしまうんじゃ?と訪ねようとした俺の唇を、麗奈の人差し指が押さえつけた。
「早とちりしないの・・・。ちゃんと説明するから。」
そして、大きく深呼吸して喋り始めようとした麗奈を、今度は結衣が遮った。
「一寸待ってください。お二人とも、此処が何処だか忘れてないですか?此処は、モンスターが出現するんですよ?詳しい話は私の道場でお願いします。」
「あ、そうか・・・。そうだな。」
「うん、分かったわ。」
俺たちが頷くのを確認した彼女は
「じゃあ、そろそろPTを組んでから一時間経つので、先に道場に戻っていますね。銀狐さん、クエストクリア、おめでとう御座います。」
結衣が言った途端、ジャンジャーン♪と音がして(クエストクリアの音楽だ)、ウインドウが出てきた。
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『転職クエスト【神衣剣士】をクリアしました』
『【神衣剣士】に転職しました』
『【神衣の水干】に認められました。スキル”神衣:赤神威”を習得しました』
『【神衣の緋袴】に認められました。スキル”神衣:緑神威”を習得しました』
『条件を満たしました。スキル”神衣:黄神威”を習得しました』
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「うわ、銀狐凄い。強そうなスキルが3つも手に入ったよ?」
「おー。どんな効果なんだろ・・・。」
「それも道場でお話しますよ。多分、スキル説明を見ただけじゃ分からないと思いますし、そもそも、【神衣の水干】と【神衣の緋袴】を装備した状態じゃないと使用出来ないので。」
「そーなのかー・・・。」
少し残念だ。帰る途中でゾンビ共に使ってやろうと思ってたのに。
「じゃ、私はもう行きますね。」
そう言った結衣の足元に魔方陣が広がった。初めて見たが、コレが転送魔方陣なんだろう。ってそういえば・・・
「結衣!【フレアスケルトン】が自爆するなんて聞いてないぞ!ああいう技を持ってるなら、事前に教えてくれてもいいんじゃないか!?」
こっちは危うく死にそうになったんだから、このくらいの恨み言は許されるだろう・・・と思っていたのだが・・・
「は・・・?自爆・・・・・・?」
結衣は不思議そうに首を傾げるだけ。
「あの・・・自爆って何ですか?もしかして、銀狐さんが炎に追いかけられていたことと関係が!?」
「おい、それってお前も知らないってこと・・・。」
そこまで訪ねた所で、結衣は転送されて消えた。時間切れ・・・だったんだろう。
「どういうことだ・・・?くそ、分からない。」
情報が足りなすぎる。だが、あの様子を見る限り、少なくとも結衣は自爆技を知らなかったってことなのか・・・?
「兎に角、早く行こうよ。私、これ以上ゾンビを見るのは一寸・・・。」
「あ、ああそうだな・・・。」
結局、俺は疑問を棚上げにして、結衣が待つ道場へと戻るのだった。
誤字脱字が多いという指摘を受けたのですが、自分では何処だか分かりません。皆さん、気が付いた部分がありましたら、教えてくださると嬉しいです。
勿論、感想なども待ってますよー