極振り自重しろ!
「あー、確かに、上がってるかもな。」
結衣はNPCなので、全ての経験値は俺に入る。【ブラックゾンビ】は数百躰いたはずだし、かなりレベルアップしていても可笑しくはない。
俺は、戦闘中にレベルアップ音が鳴るのが鬱陶しかったので、音が出ない設定にしてある。なので、レベルが上がっているのかの確認は、定期的にステータスを見なければいけないんだ。
で、開いたステータスは、大変なことになっていた。
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名前:月一銀狐
レベル:30(+17)
職業:片手剣士
体力:26
霊力:5
筋力:51
防御力:13
敏捷:50
幸運度:1
SP:119(+119)
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「凄く上がってますね・・・。」
結衣が俺の画面を見て驚いている。俺も驚いている。流石に、ここまで上がるとは思っていなかった。更に【PKK】の効果で、SPが凄いことになっている。
「よし、取り敢えず・・・。」
「あ、ちょっ・・・。」
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名前:月一銀狐
レベル:30
職業:片手剣士
体力:26
霊力:44(+39)
筋力:91(+40)
防御力:13
敏捷:90(+40)
幸運度:1
SP:0(-119)
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「完璧っ・・・!」
「じゃありませんよ!」
「グフ!」
セリフの途中で頭を殴られたので、舌を噛んでしまった。正直、無茶苦茶痛い・・・(´;ω;`)
「な、なにふんだお・・・。」
「極振り自重してくださいよ!命が懸かってるってこと、忘れてないですか!?」
まだ痛む舌を気にしながら俺は答える。
「忘れてないさ。だけど、やっぱり自分のスタイルにあったのが一番だと思うんだよ。今更防御重視のキャラになんか出来ないし。」
「でも、今の貴方じゃ、ボスの攻撃がクリーンヒットするだけで、死んじゃうかもしれませんよ!?」
「え・・・。」
「え、じゃないですよ!考えてなかったんですか!?」
「・・・い、いや、ほら、あ、当たらなきゃいいんだよ。当たらなければどうということはない!」
「・・・はぁ・・・・・・。」
結衣が天を仰ぎ、盛大に溜息を零す。俺も、何だか悪いことをしている気分になってきた。
「あ、その・・・次のボーナスは、ちゃんと防御関連に振るから・・・。」
結衣がジト目で、「約束ですよ・・・?」と言ってきたので、頷いておいた。
「はあ・・・。もう、やってしまったものはしょうがないです。もう、取り敢えず、先に進みましょう。」
「あ、一寸待って・・・。」
俺の事を待たずに館の中に入って行く結衣。ありゃあ、怒ってる、よなぁ・・・・・・。
「どうすっかな・・・。」
どうやったら結衣が機嫌を直すのかを考えながら、俺は後を追って館に入ったのだった。
【月夜の支配者】のマイナス効果修正しました。理由は、霊力や幸運度が0以下になるためです。どうやってスキル発動するんだよ・・・ということに気がつきまして、急いで修正しました。
この修正によってストーリーが変化したりはしないので、作者は馬鹿だな~と、笑って許してくれると嬉しいです。