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その力、チートかよ!?

 俺と結衣は、【アルカイドの館】へとやってきた。何故なら、【月夜の支配者】のマイナス補正は、陽の光に当たる事が条件だったためだ。つまり、洞窟などのダンジョン内ならば、日中でも変わらず活動することが出来ると分かったので、先にこっちを攻略し、【神衣剣士】への転職をしようという話になったのだ。


「うわ、でっけえ・・・。」


 そこは、最早、館というよりは、小さな城とでも言ったほうがいい位の大豪邸だった。・・・まあ、アンデッドやゴースト系モンスターの巣窟になっている廃墟なんだけどな。


「攻略に、どの位かかるんだこれ・・・。」


 巨大な門を通り抜けると、そこには広大な庭が存在していた。これだけでも、多分俺の実家が100は入るんじゃないだろうか。そして、その範囲を埋め尽くすゾンビ。この庭にいるのは黒いゾンビで、【ブラックゾンビ】と名前が付いている。


『ヴァアアアァァァ・・・。』


 何躰いるのか既に見当もつかない。


「ってか、コレ完全に詰んでねえ・・・?」


 こっちは二人、数で圧倒的に負けている。いくら相手の動きがのろいとはいえ、押しつぶされて映画のように食われる姿が目に浮かぶ。


「やべえ。結衣、逃げるぞ!」


 だが、慌てふためく俺とは違い、結衣は落ち着いている。


「大丈夫です。見ていてくださいね。これが・・・神崎神刀流の、力です!」


 そう言うと、結衣は弾丸のようなスピードでゾンビの群れに向かって走り出した。


「無茶だ!」


 助けに走ろうとするが、


「そこに居てください!」


 という、結衣の叫びで出るタイミングを失う。


「はあ!」


 結衣が刀を振る。そのたびに、ゾンビが切り裂かれる。だが、痛みを感じない彼らは、緩慢な動きながらも、どんどん結衣の行動範囲を狭める。


(駄目だ、いくら結衣が強くても、多勢に無勢だぞ!)


 やっぱり助けに行くべきだと判断し、結衣を囲んでいる肉壁の一番外側の【ブラックゾンビ】を斬り付ける。


「ヴァアアアアア!」


 だが、体力は4割ほどしか減らない。こちらを振り向いた3躰のゾンビが、同時に襲いかかってくる。


「当たるかよ!」


 掴みかかってきたゾンビを、”バックステップ”を発動して避け、体勢を崩したそいつの首に向かって”斬首”を発動する。ゾンビの首が飛び、体力が一撃で0になった(最近知ったのだが、このゲームでは、クリティカルポイントに攻撃を食らうと、極低確率で即死するらしい。その確立は、武器や、攻撃のスピード、精度など、様々な要素で変化するらしい。初めての対人戦の時、顔面に投げられた短刀を避けられなかったら、俺は今ここに居なかったかもしれないな)。


 俺は一躰を倒した瞬間、近くに迫っていた敵を向き、腕を切り飛ばす。その勢いのまま回転し、背後に迫っていた敵の両足を切り飛ばした。足を切られて転がった敵に”兜割り”を発動し、敵は頭から真っ二つに割れた。


 背後から腕を切り飛ばした敵が攻撃をしてくるのを感知した。


(回避は間に合わない!なら・・・)


「”霞楼”!」


 敵の毒液攻撃を”霞楼”によって避け、振り向きながら”神風”を発動。先程の斬撃と合わせて、敵の体力が0になったのを確認し、結衣の援護に戻ろうとした。


 だが・・・。


「ありゃ、もう終わったんですか?じゃあ、そろそろ本気出しますよ?」


 何百躰ものゾンビに囲まれながらも、全く体力を減らしていない怪物がそこに居た。それどころか、余裕の表情で、まるで遊んでいるようにも見える。


(何だそりゃ!?ゾンビは確かに動きは遅いが、あれだけ囲まれてたら攻撃を避ける余裕もないはずだ!)


 強いのは知っていたが、今までの戦闘では、ここまで圧倒的じゃ無かったハズ・・・。


「まだ気がつかないんですか?・・・私は、全く動いてないですよ?」


「・・・嘘、だろ・・・・・・?」


 そう、結衣は一歩も動いていなかった。ゾンビに囲まれながら、その中心から一歩も動いていない。敵の攻撃は結衣を素通りし、その空振った攻撃が周りに居る他のゾンビに当たっている。これは・・・。


「まさか、”霞楼”か!?」


「正解でーす!」


 相変わらずゾンビの猛攻に晒されながらも、笑顔の結衣。


「だけど、”霞楼”はそんなに何度も使える技じゃないだろ!?」


 ”霞楼”は、霊力をかなり消耗するのだ。今の俺では、回復なしでは5回使うのが限度。他の戦闘用のスキルを使用することから考えても、2回発動出来ればいいほうだ。なのに、結衣は先程から何度”霞楼”を使っている!?10や20じゃ無いはずだ。一度につき一回の攻撃を無効にするスキルなのだから。これは、単に俺と結衣のレベルが離れているとか、そういうレベルの話じゃないぞ!?


「ふふっ。銀狐さん、貴方は運がいいですよ?【神崎神刀流】は、【アンデッド】や【ゴースト】、【妖怪】に対して、チートですから。極めれば・・・ね?」


 そう言ってウインクした彼女は、「さて、終わりにしますか。」という呟きと共に、刀を空に向けた。


「『不浄なる者よ、天翔ける光と風に抱かれて消え去るがいい』、”灰燼烈滅かいじんれつめつ”!」


 彼女の刀から、青い光が天に向かって迸った。その刀を振り下ろすと、その光に触れたゾンビが跡形も無く消滅していく。


『ヴァアアアアアアアアアアアアアア!』


 恐怖など感じるハズの無いゾンビが、少しでも彼女から離れようと、必死になっている。しかし、彼らのスピードでは逃れられるハズも無い。


「逃がしません♪」


 彼女は、まだ光を放つ刀を横にし、振り抜いた。


「・・・え?」


 その光は、俺ごと全てのゾンビを切り裂いた。


「マジ・・・かよ・・・・・・。」


 目の前には、ニコニコと笑っている結衣の姿が。


(俺、NPCに殺されて、ゲームオーバーかよ・・・?)


「麗奈・・・ゴメン・・・・・・。」


 俺の目から涙が溢れ、そして・・・・・・。

あ、ステータスの部分に書いている、【保有スキル】の部分なんですが、【戦闘系スキル】と、それ以外のスキルに分けます。そのほうが見やすいと思うんです。

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