転職クエスト・・・あれ?
「これが、貴方にピッタリな防具です!っていうか、これ以外はありえません!」
道場に到着した後、結衣は道場の中へと入っていった。そして、持ってきた物を見て、俺は唖然としていた。
「和服・・・?それに、袴、か・・・?」
それは、純白の和服と、真紅の袴だった。それだけなら、別に珍しい物ではない。今まで様々なゲームをやってきた俺にとって、和服や袴なんて見慣れたものだ、珍しくも無い。でも・・・。
「これは、ゲームだろう・・・・・・?」
何だ、この神々しさは。この防具を前にすると、自分の存在がとても小さく思える。唯のデータの塊、それだけのハズの物から、俺はとてつもない存在感を感じ取っていた。
「ふふ、すごいでしょう。当然ですよ、これ、家の家宝なんですから。本当なら、見ることすら出来ない代物なんですよ?」
と自慢気な結衣。
「そんなに大事な物を、俺に渡していいのか・・・・・・?」
「さあ・・・?何となく、貴方なら、選ばれそうな気がして・・・。」
と、意味深に微笑む結衣。
「選ばれる・・・・・・?」
と、その時、ポーンとシステム音が鳴り、俺の視界にウインドウが現れた。
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『転職クエスト【神衣剣士】が発生しました』
・クエスト条件:キャラクターレベル10以上で、称号【神崎神刀流門下生】を取得していること。<<神崎結衣>>と親密になること
・クエスト内容:【アルカイドの館】のボスモンスター【フレアスケルトン】の討伐。
・期限:無し
・クエスト報酬:職業【神衣剣士】への転職。【神衣の水干】【神衣の緋袴】の取得
『クエストを受理しますか?YES/NO』
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・・・・・・転職クエストって、レベル10から可能だったのか。この様子なら、2次職、3次職も当然用意されているんだろう。
「【アルカイドの館】って・・・?」
「西区の門から出て、少し行った所にある古い洋館ですよ。ゴーストやアンデッド系モンスターがいっぱい出てきます。」
「そこのモンスターを倒せばいいんだな?」
「そうですね。」
・・・どうしよう?既に受けている【アマリリス】と、【フレアスケルトン】どっちを先にすればいい?
「なあ、【アマリリス】と【フレアスケルトン】、どっちが手強い?」
「そうですねえ・・・。レベルで云えば【フレアスケルトン】でしょうか?一応、【神崎神刀流】スキルには、【ゴースト特攻】や、【アンデッド特攻】が付いているスキルもいくつかあるんですけど・・・。」
・・・なるほど。だが、俺はまだそれを覚えていない。なら、やはり先にアマリリスだろう。【自然治癒】もそろそろ覚えておきたいし。
・・・・・・あれ?
「なあ、俺の新しい防具を見に来たんだよな?」
「ええ、そうですよ?」
「でも、それは俺がクエストクリアしないともらえないんだよな?」
「そうですよ?」
「・・・じゃあ、結局、今は他に防具を買うしかないんじゃ?」
「・・・・・・。」
俺たちは、阿呆だった・・・・・・。
アホは作者です。