脳筋発覚
「は・・・はあ・・・ひゅー・・・・・・はあ・・・。」
死ぬかと思った、マジで死ぬかと思った。恐らく二十分弱は続いたであろう<<キラーウルフ>>との戦いで、俺は結衣がいるから安心だと安易に考えてしまったことを後悔した。
「はあ・・・は・・・そう、だよな・・・。俺のレベルが、低いんだもんな・・・。」
元々ゲーマーだったので、モンスターとの戦闘自体に恐怖は無かった。確かに攻撃を食らうとかなり痛かったが、このゲームではどんな痛みを受けても気絶はしないので、その点は安心出来る。
だが、戦闘に慣れているといっても、それは高いステータスのキャラに慣れた戦闘だった。今現在の低ステータスで、今まで他のゲームでやっていた動きが再現出来るはずがなかったのだ。
「そこに気がつかないなんて・・・アホか俺は・・・。」
絶望視していたPTを組めたことで、かなりテンションが上がっていたんだろうな・・・。そんな時に、この森でも数少ない好戦的モンスターである<<キラーウルフ>>の群れに発見されたのは、かなり不運だったな。
「しかし、<<キラーウルフ>>は通常十匹程で群れを作って行動するんですけど、まさかその三倍の数が一度に現れるなんて・・・。銀狐さん、貴方、運悪いですね。」
そこに追い打ちをかけてきた結衣。マジかよ。これ、普通じゃねえのかよ・・・。
「まあ、兎に角、かなりレベルも上がったでしょうし、ステータスを振り分けたらどうですか?今のままだと、一寸キツイですよね。」
「ああ、そうだな。そうしよう。」
さて、どれだけ上がっているかな・・・。ステータス画面を出してみる。
___________________________________________________________________________________
名前:月一銀狐
レベル:13(+8)
職業:片手剣士
体力:36
霊力:15
筋力:35
防御力:23
敏捷:18
幸運度:11
SP:56(+56)
保有スキル
・刀系統スキル【片手剣LV10(+7)】【兜割りLV5(+3)】【斬首LV6(+4)】【神風LV3(+2)】
・格闘系統スキル【格闘術LV12(+9)】
・回避系統スキル【サイドステップLV10(+8)】【バックステップLV9(+7)】【霞楼LV3(+2)】
・補助系統スキル【見切りLV12(+2)】【索敵LV14(+1)】【隠密LV10(+1)】【鉱石採掘LV5】【精神集中LV1(new)】
称号一覧:PKK、PK、神崎神刀流門下生
装備称号:PKK
取得条件:PKK 全プレイヤーの中で一番最初にPKを退ける。
PK プレイヤーを殺害する
神崎神刀流門下生 神崎神刀流に入門する
称号効果:PKK 全てのステータスに5プラス。更に、レベルアップ毎にSPに5プラス
PK PKする度に全てのステータスに1プラス
神崎神刀流門下生 神崎神刀流各種スキルの取得が可能。更に、筋力、敏捷が2ポイント上昇
___________________________________________________________________________________
・・・すげえー!レベルが8も上昇してるよ!今回の戦闘では、【PKK】を装備してたから、SPの上昇が半端じゃない。スキルのレベルもかなり上がってるし、何か新しいスキルまで覚えたみたいだ。これは、苦労した甲斐があったな!・・・まあ、殆ど結衣が一人で倒してくれたんだけどね。
さて、何年か前までのMMORPGは兎も角、VRMMORPGでは、ただ筋力を上昇させる以外にも、攻撃の威力を上げる方法が存在する。それは、敏捷を上げることだ。
VR系のゲームでは、現実の物理法則がかなり忠実に再現されている。つまり、速度は、そのまま攻撃力に直結するということだ。
敏捷と筋力を同時に上げることにより、スピードが早くて攻撃が強い、最強の前線が誕生するのだ!・・・え、防御力?知らんそんなもの。攻撃に当たらなきゃいいんだ。大体、あのオッサンがマトモな敵を用意するとは思えないし。どうせ、食らったら即死のモンスターとかがこの先大量に出てくるに決まってる。
元々他のゲームではこのスタイルでやっていたし、麗奈も前衛キャラだったが、二人とも不死身とさえ言われていたんだからな。どんな攻撃も、当たらなければどうということはない(`・ω・´)!
ということで、ステータス振ってみた。
___________________________________________________________________________________
名前:月一銀狐
レベル:13
職業:片手剣士
体力:36
霊力:15
筋力:61(+26)
防御力:23
敏捷:48(+30)
幸運度:11
SP:0(-56)
___________________________________________________________________________________
「・・・完璧だな・・・・・・。」
「うわ、こんな極振り久しぶりに見ましたよ。脳筋なんですね・・・。」
俺のステータス画面を見ながら呟く結衣。遠慮ねえな、オイ(~_~メ)
このゲームのNPCは、まるで生きているように思える程リアルだ。正直、名前の部分にNPCと書いていなければプレイヤーと変わらない。でも、自分たちがNPCだと言うことをわかって行動している。・・・何か不思議な気分だ。
「ところで、かなりお金も貯まったでしょうし、防具を買いに行きませんか?その装備じゃ、この先は厳しいと思いますけど・・・。」
「そうだな。それじゃあそうしようか。だが、どんなのがいいか、迷うな・・・。」
そう言うと、結衣は笑って
「大丈夫ですよ!用意してあげますから。銀狐さんなら、値引きしてあげますよ?神崎神刀流だけの特別な防具があるんですよ!」
成程、売りつける気か。でも、こういう専用防具って、結構強い事が多いんだよな。
「そうだな。じゃあ、先ずは見せてもらえるか?」
「なら、一旦道場に戻りましょう!」
俺たちは【神崎道場】へと戻るのだった。
変化したスキルやステータスに変化した数値を書きました。これからはこうします。
主人公は頭がいいように見えて馬鹿です。必ず何処か抜けてます。目の前に餌を置かれると、その前の事を忘れるタイプです。
生き残ることが優先とか言ってたくせに、防具より先に武器かってますしね。まあ当たらなければいいんですよ。
感想待ってますよ!(´∀`*)