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第87章 内
中はがらんどうの空間、というわけではなかった。
荒らされてもおらず、少なからずの人がいるようなさざめきが、館内に響いてくる。
声は小声で、と注意書きの看板がある。
その看板の向こう側はロの形になったカウンターがあって、そこの全方向に1人ずつの図書館の職員がいた。
「すみません」
そのうち、目の前に当たる職員へとカイツが声をかける。
「いらっしゃいませ。お探しの本をお教えください」
まるでロボットだ、と思う。
カウンターの内側はたくさんのケーブルで埋もれているが、その職員の足元も例外ではない。
「あなたはロボットですか」
ギルが真っ先に尋ねた。