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第86章 領立図書館
船はしばらくワープを行い、先ほどの星から数千光年はなれた、とある連星系で到着した。
「領立図書館は、ここにあるんだな」
カイツは運転席で座りながらAIへと話しかける。
「はい、星図通りであれば。今もまだ荒廃したとは聞かないのでまだここにあるはずです」
ジョージがカイツに答える。
領立図書館は、その威容さから殿堂とも呼ばれ、過去の何万年という人類の遺産を保管していた。
そもそも惑星全土をテーマに分けて図書館や博物館として公開しているこの惑星は、今となっては訪れる人もまばららしい。
管制塔からの指示で止まったのは、図書館の最寄りの駐機場だった。
まるで古代ギリシアを思わせるその玄関の巨大な門柱の間を縫うようにして入るしかないようだ。




