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第80章 局長
「しかし、霧の中から探すようなものだぞ、何か当てでもあれば話は別だが」
「それが、そのチップなのです。そのチップを持っている者を、ネットワーク局長は探しております」
「……つまり、当てはないと」
カイツがギルの言葉にため息交じりに言った。
その通り、と言うことはなく、ただギルは話をつづけた。
「そのチップを手にすることができれば、今回の大総統暗殺事件以来の大混乱にも終止符を打てる、そう局長は信じているようです」
「それで国軍を動かしているのか」
国軍を動かす権限をもっているのは、分裂後には、元からその権限を持っていたごく限られた人と、その地域にいる有力者になっている。
ネットワーク局長という職種の都合上、その管理維持などのために、国軍の指揮命令権を有していた。