第7章 護衛協定
再びエル社の船に戻り、カイツ達は説明をした。
「まず、あなた方にお知らせしなければならないことがあります」
「…なんでしょうか」
「あなた方が来たとおっしゃっている火星や地球という惑星は、この銀河系に存在しません。隣の銀河か、もしかしたら、別の宇宙空間から来たとしか…」
「まさか…」
彼らは、目を合わせてびっくりした様子だった。
「確かに、なにか妙な雰囲気はあったんですが…」
「妙な雰囲気?」
カイツが聞き返す。
「ええ、なにか、膜状なものを通り抜けるような感じだったんです。まさか、あれでこちらの別世界に入り込んでしまうとは…」
「それで、武器の類はないようですね」
「武器なんて持ってませんよ。こちらは戦争なんてなかったのですから。でも、宙賊という、海賊の宇宙晩みたいなやつらが暴れているので、多少の武器は積んであります。向こうの世界で宙賊に追われている最中にこちらにきて……」
「宙賊?」
「こちらには無いのですか」
「宙賊とか、そう言っている場合ではないので」
カイツは、彼らに、いまのこの銀河の状況を説明した。
「…そんな戦争をしているところに来てしまったのですね」
「ええ、残念ながら」
彼らはふぅとため息をつくと、商品管理長を呼んできた。
「どちらにせよ、こちらから向こうに戻る手立てが見つかるまでは、こちらで商売しながら生きていきますよ。それで、どうですか。なにか買いません?」
「買うことはできませんけど、資産価値なら測れますよ」
ローリールが船長に言う。
「では、お願いします」
商品管理長とローリールは一緒に行き、その査定が終わるまでの間、カイツたちは船長と簡単な打ち合わせをした。
その結果、カイツ達の船が彼らの船を護衛することになった。