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第63章 噂
「何をだ」
「噂だよ」
譜柴は、ローリールとカイツに、今巷を騒がしている噂を言って聞かせた。
「噂に曰く、大総統を殺したあの縦断は、ネットワーク管理局が撃ち込んだ。だそうだ」
「なんだそれ」
契約書類を確認しながらローリールが譜柴に答えた。
「大総統の死体は今も宮殿に安置されている。もっとも、宮殿の管理はネットワーク管理局から委託を受けた外郭団体がしているがな。彼が死んでから今に至るまで、公開はされていない。本人の遺言だという話だが、ありゃ眉唾物だぞ。そもそも帝国放送で遺言状として読み上げられたものがあったが、それの実物は誰も見てないしな」
帝国放送は、大総統が生きていたウルタードン国の国営放送の俗称だ。
戦国時代に突入するまでの間、つまり大総統が死んでからしばらくの間は、大総統が死んだというお通夜モード一色だった。
今は放送を休止していることになっていて、その組織も四分五裂した。
各惑星政府ごとに宣伝放送をしていたり、あるいは民間放送の電波が銀河中を飛び回っている。
その状況で、最後の放送として名高いのが、大総統の遺言状の公表だった。