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第58章 所有権
「やはりご存知ですか」
カイツがロミクへ言った。
「ええ、私の会社の船なら、全部覚えています。しかし、乗員はどこへ」
ロミクは、船を眺めつつも不思議そうにつぶやいた。
「すでに発見したときにはこの状態でした。中の人らがどうなったのかについては、どこにも記録がありません。おそらくは、こちらへ来る際に、データは消えたのでは無いでしょうか」
ヒャカリトがロミクへと言った。
だが、それがわかったとしても、どういうことなのかは分からない。
「ロミクさんの会社の船なのでしたら、ロミクさんが持つべきものになるでしょう。もしくは第一発見者である私たちか」
サバルがロミクに提案をする。
何方にせよ、この船の所有権は宙に浮かんでいる。
それにとんでもない秘密付きだ。
隠し通せるものなら、隠しておきたい。
カイツはそこまで考えた上で、ロミクの言葉を待った。




