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第54章 一歩
フルカイツ同盟の船に戻ると、さっそくローリールは調べはじめた。
それと同時に、カイツはこの船をどうするかを考えていた。
「一番いいのは、所有者に、ああ、会社かな、所有会社、に返却することなんだと思うんだけど……」
カイツが意見を聞く。
「情報がなくなっているんだよね。でも、ロミクの名前を出したら、反応したところから考えて、どうみてもエル社のものっぽいんだよね」
サバルが言う。
「でも、エル社ってないだろ。どうするんだ」
言うのは荷物を調べているローリールだ。
その横にはヒャカリトもいる。
「何かあるかな、と思って調べてみてるけど、これ見て」
映し出されているデータはネットワーク管理局から取り寄せたものと、砂野丸からもらったデータを照らし合わせたものだ。
それは、まったく一致している。
「間違いなく、この銃弾の成分は、大総統射殺に使われたものだよ」
それは大事件の真相に、初めて一歩近づいた瞬間だった。