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第43章 外形図
通信には相変わらず返答がない。
「どこか中に入れないかなぁ」
帝国の法律では、近くにいる人が助けるということになっていたが、助けるべき人がいない、あるいは人がそもそも乗っていない船は、第一発見者にそのすべてがゆだねられるということになっていた。
それもあって、カイツは中に入って荷物を調べてみたかったのだ。
ちなみに、発見後5年以内に所有者が出てこなければいいが、出てきた場合には、真の所有者に発見当時の価額の半分を渡す必要がある。
「あそこ、いけそうじゃない?」
カイツに指差して教えたのは、ヒャカリトだった。
ぐるぐると船の周りをまわっていたおかげで、大体の外形図は出来上がっていた。
そこでその外形図をもとに可能性が高そうなところに接近したところ、ブリッジを見つけた。
「よし、とりあえず反応がない以上入ってみないことには何があったかは分からないだろう」
カイツの決断で、船とドッキングすることとなった。