42/90
第42章 発見
何年も昔のこと、だから、ここを通ったのも昔のこと。
カイツはそう考えていた。
ワープができなかったのも、惑星を地震で崩壊寸前にさせたのも、きっと何らかの事故が起きたから。
そう考えていた。
「船を発見」
ワープ着陸直前、AIのジョージの声が聞こえる。
緊急回避ということで、少し離れたところに出てきた。
「船、だね」
すぐに周囲を調査してヒャカリトが伝えた。
「行こう、何かあったのかもしれない」
船は遠目からみて何かあったという雰囲気ではない。
ただ、静かに宇宙に浮かんでいるに過ぎなかった。
遭難信号や、識別信号といったものは一切出ていないことからも、見た目に反して何かあったということは明らかだ。
そうでもなければ、さっさと動いていることだろう。
カイツは思いつつ、船を動かして接近した。