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第40章 軌跡
翌日、ごくわずかなキセノンイオンが見つかった。
キセノンイオンは、エンジンの燃料として使われていた。
しかし、使われていたのは数百年も昔のこと。
今は誰も使っていないだろう。
「なんで今更キセノンを使うんだ。もっと効率のいい、値段の安い燃料が山のようにあるというのに」
カイツの言葉に、いろいろと意見を出し合っていく。
「最近、キセノンエンジン使った人がいないかどうか、調べてみないといけないね」
「最近というよりか、地殻変動が起きた時点でしょ。本来なら、帝国の宇宙船監督局に申請することになるんだけど、今は崩壊しちゃったからなぁ」
そう言いつつ、カイツは船の行き先を、ごくごくわずかな濃度勾配に従わせる。
「とりあえず、濃い方に向かってみよう。何か見つかるかもしれないし」
カイツの意見に、みんな同意した。