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第20章 ワープ
ワープする瞬間、目の前を巨大な岩が通って行った。
だが、実際には岩は通っておらず、そのようにモニターで見えただけだ。
「位置確認」
「緊急ワープにしては、正確だね。誤差にして451mってところかな」
ヒャカリトがカイツに答える。
「じゃあ、すぐに彼らを迎えに行こう。周りの警戒を厳にして、エル社と合流。それから、すぐに飛ぶよ」
どんどんと指示を出しながらも、船は微速前進を続ける。
周辺の敵の姿を確認すると、あまりにも多すぎる岩に阻まれて、よくわからない。
ただ、彼らがどこにいるのかは、向こう側のAIが発しているビーコンによって分かる。
それがカイツたちが分かると言うことは、敵にも分かると言うことだ。
「急ごう。エル社の人たちを、こんなところで殺すわけにはいかないからな」
「合点承知」
ヒャカリトがカイツに答えると、スピードをゆっくりと上げていった。