これは刀ですか?
「えーっととりあえずすみませんでした‼」
裏に行くなり謝られた。まあ、そうだろう。スカイ公爵家につながりのある冒険者が店に来たと思ったら実は王族でしたってなったら…それにこの国では王族は基本嫌われているのだ。この反応にもうなづける。
「あの、頭上げてください。俺はあんな王族とは違うのですから。まあ、一応自己紹介しておくとデンティス王国第二王子、シンヤ・デンティスです。いつも通り接してください。…あれ?」
何か視線を感じると思ったら3人がこっそり盗み聞きしていた。ガックシ…
「シンヤ、王子だったのか?こんな接しやすい王族がいるなんてな…」
「あはは…とりあえず誰にも言わないようにしてね。ドラグンさん、まあ紹介状に書いてある通りなんで武器を売ってください。あ、あと俺が王子だと知っているのはほかにはエルシオテウさんがいますから」
「いいけどよ。もう殿下が国王になったほうがいいんじゃねえか?」
「俺に兄上を殺す勇気はないですよ。ハハハ…まあ半年間は父上で我慢してください」
これだけ言えば察しがいい人は俺が王になることを考えるだろう。この4人もそれを察したらしく必死にうなづいていた。売り場に戻ってきた俺たちは武器を見せてもらった。
「殿下、この武器なんてどうだ?短剣だが素材もいいしボロになることはないと思いますぜ。あーでもこれは高すぎやすね。素材がアースドラゴンの骨なんで金貨30枚しますぜ」
「うわー高い。シンヤは何か気になる物でもあったの?さっきからずっとあの棒を見つめてるけど」
そう、俺はドラグンの後ろに飾ってあるただの棒に目を奪われていた。しかもあの棒はただの棒ではない。おそらく…何かの鋼だろう。
「ドラグンさん、あの棒、いくらですか?」
「あれか?あれは結構昔に冒険者が持ち込んだものでな。これで剣を打ってくれと言われたんじゃが全然形が変わらなくてのう。捨てるのももったいないしこん棒として売ってるのじゃ。ゆえに銀貨5枚でいいぞ?」
「いえ、あれはこん棒なんかではありません。あれは聖剣です。俺は高位の鑑定スキルがあるのでわかりました。ただ能力的には微妙なところです。金貨10枚、きっちりお支払いします」
そういって金貨を渡し聖剣を手に取る。頭の中で剣の形を思い浮かべ魔力を流すと見る見るうちに姿が変わっていった。
「ほお、これは驚いた。魔力で形を変える武器になるとはのう」
「えー、なんで剣を思い浮かべたのに刀になるの?」
そういいながら俺は元の形に戻した。だが戻すときに持ち運びやすい大きさに指定したので手のひらサイズの棒になっていた。
「まあ、武器は手に入ったしダンジョンに行くわよ」
「殿下、それにお仲間さん、気をつけてのお」




