パーティーができました
「ガザルさん、失礼ですがもっとこう怖い人だと思ったんですけども根はやさしいんですね。でも…少し怒りっぽいですか?俺はいいですけどもしこれが(第一)王子殿下だったら不敬罪で即打ち首なので気を付けてくださいね」
「肝に銘じるぜ。こう…貴族様にこんなこと言うのはなんだがこの国の冒険者で王族が好きな奴なんていねえよ。なんせ買取金額の半分を税として持っていくんだからな」
その言葉にギルドの職員もその他の冒険者もうなづいている。そう、この国が腐る原因になったのが税だ。ここ300年くらい非常に重税が課せられている。代を重ねるごとに重くなり今に至るというわけだ。ガザルが言ったように冒険者なら買取金額の半分を税として国に納めなければならず、商人には売り上げのほとんどを取られる。それでも国が滅びないのはダンジョンが3つもあり多くの冒険者が集まりそれに伴って商人も集まるからだ。
「あはは…俺も王子殿下に疎まれているので構いませんよ。それとしっかり感覚まで戻りましたか?」
「おう、ありがとな。問題なく触った感覚もあるぜ。で、職員よ、早く結果伝えなくていいのか?」
「え、あっはい。おめでとうございます。シンヤ殿をDランク冒険者とする。およびCランク冒険者ガザル殿をBランクに昇級するものとする。冒険者カードをお預かりします」
職員が宣言すると同時に歓声があがった。しばらくして冒険者カードを受け取ると周りの人が押し寄せてくる。それに対応していると昼になっていた。
「大変だな。シンヤ様、俺はアークだ。よければパーティーを組まねぇか?あと一人いればと思ってたんだよ」
「シンヤでいいですよ。パーティーか、組みましょう。そちらの2人が仲間ですか?」
「ハルよ、魔法は全然ダメだけどよろしく」
「ティナです。近接は全然ですが魔法は使えます」
3人は王都の外の村の出身らしい。俺より1つ年上でEランク冒険者のようだ。しばらく話した後、早速明日ダンジョンに潜るということで屋敷まで迎えに来てくれることになった。余談だが王都の3つのダンジョンにはそれぞれ名前があるが王都ダンジョンの後に数字をつけただけだ。世界辞典によると建国当時はもっと多くあったようで一つ一つに名前を付けるのがめんどいからという理由で無機質な名前になったのだという。明日潜るダンジョンは王都ダンジョン1で初心者に優しいのだそうだ。アークの話ではEランクでも十分に攻略できるとのことで本当に優しいダンジョンらしい。2つ目の王都ダンジョンは数字は4となっている。このダンジョンも1と同様初心者向けのダンジョンになるが3つ目の王都ダンジョンは現在も最下層まで攻略されていない。というのもこの3つ目の王都ダンジョン17は大陸でも有数の人気を誇るダンジョンでこの世界の神話にもこのダンジョンと思われる記述がある。現在、攻略済みの階層は56層となっているが世界辞典で調べたところ最下層は1325層らしい。神話にはその昔このダンジョンの最下層に邪神といわれる神を多く封印したとあり神話上では名前は記述されていないが、世界辞典によるとまさかの地球でのギリシャ神話や北欧神話などの様々な神の名前が記述されていた。幸いといっていいのか分からないが日本神話の神様はいなかったことは安心した。
「それじゃ朝の9時に迎えに来るからな‼しっかり門番には伝えとけよ」
こうして俺はアークたちと別れた。




