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昇級試験を受けました

「エル、私は用があるので帰らせてもらう。シンヤ殿下、くれぐれも冒険者たちに王子だと悟られないようにしてください。あと、王子なのですからくれぐれも無理をなさらないように。屋敷で帰りをお待ちしております」


 スカイ公爵は軽く一礼した後に退出した。おそらく月に一度の王城に行き父である国王に報告するのであろう。前世を思い出す前までも月に一度報告に出向いていた。

 余談だがこの世界の時間の単位などは地球とほぼ同じだ。違うところといえば4年に1度の閏年がないことと、1か月が32日ある。


「シンヤ殿下、冒険者カードが出来上がりました。殿下は王族のため規定によりFランクからとなりまがビリーの息子としてになりますので進級試験を受けていただきます。本来であれば魔法属性やスキル、魔力量が基準値以上にならないといけないのですが、私も元冒険者でハイエルフなので魔力量は見なくともわかります。では、ついてきてください」


 エルに言われるがまま一階に降りてゆきまだ残っていた冒険者の中から俺の相手が選ばれた。相手はCランク冒険者のガザルというソロの冒険者でスキンヘッドの筋肉マッチョだ。


「あの公爵家のボンボンか…。冒険者の怖さ教えてやるぜ?」


 ガザルの言葉に見物している冒険者が「やりすぎるなよー」などと喚いている。周囲の声から察するに粗暴な冒険者のようだ。職員がルールを説明しているが要するに相手を殺すなということだ。殺さなければどういう形でやろうが構わないとのこと。


「ではこれより新人冒険者シンヤ殿のFランク昇級試験を行う。はじめ‼」


「ファイアーアロー‼」


 開始の声と同時にガザルはファイアーアローを撃ってくる。この世界の魔法は難しい魔法でもない限りは詠唱を省いて魔法名だけで発動できる。これは詠唱省略というスキルで魔法を使える人は必ずと言っていいほど持っているスキルだ。俺の持っている無詠唱はどんな魔法でもイメージするだけで発動できるため詠唱も魔法名もいう必要がない。


「ファイアーアローとは言いましたが…お粗末な魔法ですね。届いてないじゃないですか」


「お、俺は近接戦が専門なんだから届くわけないだろ‼今のは魔法が迫ってきても慌てないか確認しただけだ‼ここからが本番だぞ。身体強化‼」


 叫んだと同時にこっちに向かってくるが俺は転生したとはいえ前世は自衛官だ。銃を扱って戦ってきた身としては目に見える攻撃など遅い。

 ガザルの木剣が左上から迫ってくる。俺はしっかりと受け流し反撃に出ようとしたが相手の動きが速く木剣を弾き飛ばされた。


「これで武器はないな。受け流しからの反撃は見事だったが動きが遅い‼剣がないと危険だぜ、こんなふうになぁ‼」


「近接戦で武器がない場合はもうあきらめるしかないぞ‼魔法と剣では圧倒的に剣のほうが有利だ‼」


「その通りだなぁ‼昇級は諦めてGランクからするんだな‼」


 ガザルが決着をつけようと剣を振るのを見て俺はとっさに構えた。剣先が体に触れる直前に、俺は体を右に捻り交わしてすかさず左肘でガザルの腹を殴り体を戻すと同時に思いっきりガザルに膝蹴りをくらわした。だが腹にあてるつもりが股間に命中。股間から血が流れだしてしまいガザルは泣き出してしまった。


「降参だ‼降参‼お前はFランクの器じゃねえ‼Dランクの器だ‼しっかし…俺はもう子供を残せなくなっちまったようだ。2つともつぶれてしまってる」


 その言葉に見物していた男たちは一斉に自らの股間を両手でガードした。その様子を見て女性たちは笑っている。まあ俺も潰すつもりはなかったのでガザルに謝った。


「すみません。腹にあてるつもりが…その…潰してしまって。回復魔法使えるのでかけます。あぁ……罪悪感がすごい。【エクストラヒール】」


 エクストラヒールとは回復魔法の一つでハイヒールの一つ上の魔法になる。別に魔法名を言う必要はなかったのだが無言でやるよりもいいと思い口に出した。するとみるみるうちに流れていた血が止まっていった。

 しばらくしてガザルは自分の股間に手をやりまさぐると復活してたのか飛び跳ねて喜んでいた。

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