Episode2
リアクションや評価等、ありがとうございます!!
今回はつばめ(芥川龍之介)が学校(高校)に投稿する話です!!
ちなみに、本物のつばめが交通事故に遭ったのは入学して一週間ぐらいの頃だったとか。
ぼんやりとした不安に浸食された末にその生涯を自らの手で終わらせた男、芥川龍之介がどういうわけか令和の時代を生きるJK.....西野つばめに転生してから数週間が経ち、無事に病院から退院した彼女はというと
「西野さん!!久しぶりだね!!」
今現在、久々に高校に登校した際に令和の時代ではギャルと呼ばれる存在に絡まれていたため、彼女はこういう人間をギャルと呼ぶのかと思いながら、クラスメイトのギャルを見ていた。
彼女がそんな状況になっているのも仕方のないことで、何しろ例の事故に遭ったのが高校に入学して一週間も経たない頃だったため、つばめがそうなるのも無理はなかった。
ちなみに、他のクラスメイト達は事故に遭ったつばめのことを心配していたものの、どこか雰囲気の変わった彼女に対してほんの少しだけ距離を置いていた。
そんなクラスメイト達を見たつばめは、何故それを分かりやすい行動に出さないのだろう?と思いながら、目の前にいるギャルの話を聞いていた。
「あなたは.....」
「あーし?あーしは河本美波!!改めてよろしくね!!」
そう自己紹介をした後、ニパッと笑顔を見せる美波の姿を見たつばめは、彼女の明るい性格に対して眩しいなと思いつつも、クラスメイトとして仲良くなるに越したことはないと思ったようで、ほんの少しだけ興味を示した様子でこう言った。
「あぁ、こちらこそ仲良くしてもらえれば助かる」
そう告げるつばめを見た美波は、彼女から好意的とも取れるような返事が来るのは思ってもいなかったようで、その顔に溢れんばかりの笑顔を見せながら嬉しそうに喜んでいた。
一方、そんな美波を見たつばめはここまで喜ぶとは思ってもいなかったのか、ほんの少しだけ驚いた顔になっていた。
ちなみに、その様子を見ていたクラスメイト達は、美波の提案を了承したつばめを見て凄いなと思ったとか。
「本当!?やったぁ!!」
つばめの返答に対し、美波は彼女の手を握りながらピョンピョンと飛び跳ねる形で喜んでいて、目の前にいる嬉しそうなギャルの反応を見た彼女は、こういう騒がしいのも悪くはないなと思ったのか、少しだけ口角が上がっていた。
そう思っているつばめを尻目に、美波はニパッと夏の日差しのように眩しい笑顔を見せると、彼女に対してこんなことを言った。
「分かった!!じゃあつばやんって呼んでもいい?」
美波の口から出たその言葉に対し、つばめは一瞬フリーズするのだが.....すぐにその言葉の意味がニックネームだと理解したのか、ピクリと眉毛を動かすと彼女に対して手を握り返した。
そして、その顔に面白いと言わんばかりの表情を映し出すと、真波に向けてこう答えた。
「....あぁ、もちろんだとも。では、こちらからは美波と呼ばせてもらおう」
「もちろん!!良いに決まってるじゃん!!」
手を握り返す形でそう答えるつばめを見た美波は、当たり前だが更に嬉しそうな表情を顔に映し出していて、まるで彼女と友達になれたことを心から喜んでいる様子が見られたため、つばめもまたとりあえず友人が出来たことを内心喜んでいた。
そんな中、美波は友達になれた嬉しさからかフランクな様子でつばめに向けてこう言った。
「ところでさ、つばやんって本好き?」
「あぁ、一応はな」
美波がそう尋ねると、もちろんと言うようにその言葉に答えるつばめ。
その言葉を聞いた美波はまたもや嬉しそうな顔になった後、目の前にいる友達になりたてのつばめに向けてモジモジとしながらこんなことを言った。
「あのねあのね!!あーし、今まさに芥川龍之介の『鼻』っていう小説にハマってるんだけどさぁ.....周りにその本が好きな人が居なくて、推し本トークが出来ないんだよね」
「....ほぅ?」
美波の口から出た本のタイトルが前世の頃の自分の描いた小説の題名だったからか、内心嬉しそうにしつつも知っているような雰囲気を出しつつ、その話に食いつくフリをするつばめ。
と言うのも、つばめ自身.....いや、芥川龍之介自身は知的な女性が好みだったこともあってか、この時の彼女の目はキラッと光っていたのだが、そのことにクラスメイト達は全員気づいていなかった。
「『鼻』....確かコンプレックスに苛まれた僧侶の話、だったか?その小説なら私も大好きだ。私の場合は、僧侶の禅智内供が自らのアイデンティティについて自覚するシーンが好きだがな」
美波の言葉に対し、好意的に受け取るような雰囲気でそう言うつばめ。
最も、その胸中は自分の作品が好きだと宣言した彼女に対する感謝の念で溢れていたとか。
ただ....そのつばめのその様子を見た美波は、彼女が『鼻』のことを知っているのだと感じたようで、目を爛々とさせているつばめとは違い、目を星屑のように輝かせながらこう言葉を続けた。
「そう!!そうなの!!『鼻』っていわゆるコンプレックスに関する話なんだけど....硬派な文章に散りばめられている皮肉さがたまらないんだよね〜!!」
目を輝かせながら熱くそう語る美波だったが、その耳にクスクスと彼女を笑う声が聞こえてきたため、その声が聞こえてきた途端に美波は顔を真っ赤して口を閉ざした。
けれども、その言葉はつばめの耳元にも入ってきたようで
「美波、教養があることは悪いことではない。むしろ、教養とは自らの心を豊かにするもの。だからその誇りと知性を恥じることはない」
自身の作品を愛している彼女に向け、そのことを気にすることはないと励ますかのようにそう言うと、美波はビックリとした顔になりつつもその言葉が嬉しかったのか、その瞳にはうっすらと涙が浮かんでいた。
ただし、美波を冷笑したクラスメイトに対してつばめは少なからず怒りを抱いていたようで、そのクラスメイトを注意するようにこんなことを言った。
「どこの誰だか分からないが....冷笑することは己が無知であることを意味していることを晒しているのも同然だ。そういう形で自らの恥を晒すよりも勉学に励む方が良いのではないか?」
彼女の言い放ったその言葉は、教室内の空気を凍らせるには十分すぎる程の威力ではあったものの、その言葉は美波にとって嬉しい言葉だったのか、感謝の言葉を告げるように小声でこう言った。
「つばやん....私のために怒ってくれてありがとう」
美波の小さな感謝の言葉を聞いたつばめは、その顔にフッと笑みを浮かべると....前世の頃の自分の作品を愛してくれている彼女に対し、こう答えた。
「友人の好きな作品を冷笑されて怒らない人間など居ない。私はただ、そう思っただけだ」
そう告げたつばめの顔には、自身の作品を愛してくれてありがとうと言わんばかりの表情が浮かんでいたのだが、その表情を見た美波は燕と同じように彼女と友達になれて良かったと思ったようで、つばめと同じように笑顔を浮かべていた。
かくして、転生先の時代で友人を得たつばめだったが....その代わりに教室内でちょっとだけ浮くようになったのはまた別の話である。
河本美波ちゃんは見た目はザ・ギャルですが、中身は読書と本が大好きな文系ガールです。
ですが、見た目が派手派手なので勘違いされることが多い上に、好きな本がいわゆる流行の本じゃないので中々本好きな友達が居ないとか。
なお、彼女の推し本は芥川龍之介の『鼻』だとか。




