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面接は最初の6秒で決まる  作者: 坂月陽
第十二章 面接日前日
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面接日前日6

ボクシングでワンツーは基本だがスリーになると応用、つまりコンビネーションになる。本命だと思っていた逆質問一は前振りで、逆質問ニが本命だ。いきなりプライベートの質問をすると警戒されるので、その前にいくつかの「振り」で揺さぶる必要がある。


「そうですね、最近は韓国ドラマにはまっています」


(ほう)


私は資格試験を不合格になってからの数ヶ月、サブスクでドラマや映画にはまっていたことがあり、韓国ドラマもそのリストに入っていた。


「最近おもしろいドラマはありますか?」


私の知っているドラマなら距離を縮めるチャンスだ。


「やっぱり『愛の不時着』ですね。もう何度も観ています」


(キタ!)


「私が五十回観て四十八回泣いたドラマですね」


「ほうんとうですか?すごーい!」


江田さんと出会って数年になるが、初めてトーンの高い声を聞いた。これがプライベートの江田さんか。それからは江田さんの質問タイムが始まった。


・五十回観てなぜ二回だけ泣かなかったのですか?

・どのシーンが一番感動しましたか?

・お勧めのシーンを教えてください。


私は数年分の思いを吐き出すように、一つひとつ丁寧に答えた。


カットが終わり会計に呼ばれて行ってみると、レジには江田さんが満面の笑みで立っていた。


「あれ?どうしたんですか?」


「今日は私が会計を担当させていただきます」


気のせいか江田さんの声は弾んでいた。


お金を支払い店を出ようとドアの取っ手に手をかける寸前に江田さんが走って寄ってきてドアを開けてくれた。


「今日はとても楽しかったです」


(何を言っているんだ。楽しかったのは私のほうだ)

「こちらこそ江田さんとたくさん話ができて楽しい時間を過ごすことができました。ありがとうございます」


お互いに「ありがとう」を言い合い、私は江田さんに別れを告げて駅へ向かって歩き出した。少しして後ろに視線を感じたので振り返ると、江田さんはまだ見送っていた。


私はうれしくてその場で飛び跳ね、両手を大きく振ってそれに応えた。江田さんの表情は距離があったのでよく見えなかったが、たぶん笑っていたように思う。


店になかなか戻らないので、今度は開いた手を指差しに変えて早く店に戻るように促した。それが伝わったのか、江田さんは一礼してから店に戻った。


共通の趣味が見つかると、人はここまで距離を縮めるものかと驚くばかりだ。次に来るときは必ず職を得て、胸を張って江田さんに会うのだと心は熱く燃え上がった。


面接のルール12:

・面接日前日は想定質問の確認と修正をする。

・面接日前日はリラックスする時間を作る。


(続く)




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