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面接は最初の6秒で決まる  作者: 坂月陽
第十二章 面接日前日
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面接日前日5

ルミナスでの予行練習はそのまま明日の面接につながる。私はもう一度深呼吸をし、息を吐くのと同時に取っ手をつかみドアを引いた。


「いらっしゃいませ」


今日も感じのいい笑顔に迎えられ、その安心感から緊張は少しだけ緩んだが逆質問のときまで気を抜いてはいけないと肝に銘じた。いつものように荷物を預け、シャンプーを案内され、それが終わるとカット席に案内される。


「相手に好印象を与えるのは笑顔だぞ」


私は前面の鏡に向かって何度も笑顔を作ってみたが、どうにも不自然だ。今できなければ明日できるわけがない。面接は一期一会、「できません」は通用しない。


「思い出し笑い」で最近のおもしろかったことを思い出して笑顔を作ろうとするが、まったく思い出せない。笑った記憶がないからだ。結局、笑えないまま江田さんが登場する。


「お待たせしました」


このとき初めて江田さんのすごさを知った。彼女はただの美人ではなく、飛び切りの笑顔を持っている美人だった。


「やばい、緊張してきた」


何度会っても緊張するのは美人の他に好意を抱いているからだろう。それなのに誘えないのは私が緊張しているのもあるが、会話が圧倒的に少ないからだ。私は必要最低限のことしか話さないし、江田さんも余計なことは聞いてこない。ただし、今日はいつもと違う。私は「覚悟」を持ってここにやって来たのだ。


「チョキチョキ、チョキチョキ」


聞こえるのは心地良いハサミの音だけで、お互い無言のまま時間だけが過ぎていく。私は鏡越しに江田さんを見た。髪を切ることに集中する姿も美人だ。江田さんは私の視線に気づいたのか、鏡越しに私を見て微笑む。そろそろ仕掛けるか。


「最近は忙しいですか?」


まずは世間話のジャブをかまして会話のリズムを作る。


「そうですね、週末は忙しくなりますね」


「普段って営業時間が終わってから店に残って練習したりするんですか?」


ジャブをかましたらワンツーのツー、つまり右の大砲だ。逆質問その一。これは私が前の家に住んでいたときに、二十三時過ぎまで美容師が店に残って練習していたのを見たことがあったので、同業の江田さんも同じことをするのか聞いてみた。


「あら、詳しいんですね。後輩の指導で遅くなる日もありますね」


美人には隙がないと言うが、その言葉通りの人が私の後ろで髪を切っている。いつもならここで怯んで沈黙になるが、今日は覚悟があるので半ば強引に次の質問に移行する。逆質問その二だ。


「忙しいときのストレス解消って江田さんはどうしているのですか?」




ご覧いただきありがとうございます。

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