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面接は最初の6秒で決まる  作者: 坂月陽
第十二章 面接日前日
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面接日前日3

ルミナスの外観はマンションの一階にあり、緑の背景に白い文字で大きく「ルミナス」と書かれた看板が掲げられている。店内には観葉植物が見えて、照明も程よく落ち着いた雰囲気が外から見ても伝わってくる。


私の勘も不快感を示していない。私は大きく息を吸い、一気に吐きながらドアに手をかけ手前に引いた。


「いらっしゃいませ」


受付の若い女性が感じの良い笑顔で迎えてくれた。


「すみません。予約していないのですが、大丈夫ですか?」


本当は店を見て家に帰ってからネットの口コミで評価しようと思っていたが、ここに来るまでに願望を多く描き過ぎて良いイメージが強く残り、勢いづいてドアを開けてしまった形だ。


「確認しますので少々お待ちください」


受付の女性はスケジュールのチェックを始めた。待っている間に店内を見渡すと平日ということもあり客はまばらだ。たぶん大丈夫だとは思うがどうだろうか。


「確認が取れました。では、ご案内しますのでこちらへどうぞ」


最初はシャンプー、それが終わるとカットの席に案内された。


「老けたな」


前面の大きな鏡に映った自分を見てしみじみと思う。


我孫子陽介45歳。ハゲてはないがフサフサでもない。いや、ハゲてる方か。サイドに白髪が多く、十年もしたら前髪が無くなっているのではないかと不安でしかない。


しばらく自分の顔を見た後、今度は口角の上げ下げをして顔の筋肉をほぐしていく。最近笑った記憶はなく、話す機会も少ないので顔の筋肉は固まってしまっている。普段は鏡を見る機会などほとんどないので家ではない、別世界のこの空間で笑顔の練習をしておきたい。全身全霊の、決めの笑顔を鏡に向けたそのときだった。


「クスクス」


口に手を当て、笑いを堪えきれずに鏡に映りこんだ女性がいた。


「ご来店ありがとうございます。本日担当させていただく江田と申します」


この日から私は江田さんを指名することになる。


ご覧いただきありがとうございます。

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