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面接は最初の6秒で決まる  作者: 坂月陽
第十二章 面接日前日
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面接日前日2

悪魔のささやきが聞こえた。


「まだ始まってもいないのに諦めるやつがあるか!」


私は即座に否定して歩き始めた。ルミナスは地図によれば駅前から少し歩いて街道に当たったら右に曲がり、そこから交差点を二つ超えた先にある。十分では着かないかもしれない。


(後ろの店ではダメなの?)


悪魔は先ほど候補から外した店を聞いていて振り返ればまだ店は見えて戻れる距離にあるが、あの店はどうにも気が向かない。


私が退職した表向きの理由は資格試験に集中するためなので家にいることが多く、ほとんど運動をしていない。家から出ることといえば歩いて五分のスーパーかコンビニくらいだ。


「そうだよ、運動不足解消のチャンスだよ」


私の中で悪魔との攻防が続いた。人が不安や葛藤に苛まれるときは「動きが止まったとき」が多いと聞いたことがある。夜に電気を消して寝ようとしても、その日の嫌なことや明日への不安がぐるぐる回って眠れないのがいい例だ。立ち止まって考えても結論は出ない。だから私は「動き出す」を選択した。


「これはイチョウだろうか」


視線を景色に向けて意識を変えてみる。街道沿いには大きな木が等間隔に並んでいた。残念なのは来るのが早過ぎたことだ。今は紅葉の季節ではないので葉は緑のままだった。秋が深まればこの街道は黄色一色に染まるのだろう。その他にはマンションが立ち並び、その合間に昔ながらの商店やコンビニ、歯医者と続いている。


ルミナスは街道沿いにあるので迷うことはないが、結構歩いたつもりがまだ着かない。少し先に交差点があり、その先にルミナスはあるはずだ。


最初は新鮮だった景色も十分も街道の一本道を歩いているとさすがに飽きてくる。額にはじんわりと汗が滲んでいた。


(引き返すなら今だぞ)


悪魔は再びささやいたが、半分以上歩いてきてここで引き返す選択肢はない。かといって変わり映えしない景色に飽きたのも事実。


「さて、どうするか」


ルミナスがどういう店か知らないが、次に来るときは「不動産鑑定士試験のメモを持ってそれを暗唱しながら歩いてみよう」という案が唐突に浮かんできた。それがトリガーとなり、ルミナスへの願望が次々と湧いてくる。


・美人の美容師だといいな

・技術のある人だといいな

・「お休みの日は何をしているんですか?」など聞いてこない人がいいな


願望はいくつ描いても楽しい。楽しいことは時間が過ぎるのが速い。願望を思い描いている途中で目印の交差点にたどり着き、目的地のルミナスはもうすぐだ。


私は交差点をわたり、右へ進んで数分。ついにルミナスに到着した。


「ここか!」



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