逆質問1
秋分の日は昼と夜の長さが同じになり、この日を境に夜が長くなり本格的な秋を迎えると言われている。なるほど、先月までは十九時前まで明るかったのに最近では十八時前にはすでに暗くなっている。
夜が長いということは日中が短くなるわけで、必然的に一日が短く感じる。それはつまり、時間の流れが年末に向かって加速することを意味している。
贅沢は言わない。この際アルバイトでもいいので早く仕事を決めなければ、年が明けても無職のままだ。何とかしたいところだが、こればかりは相手のあることなので焦ってみてもどうにもならない。私は私のできることを精一杯やるしかない。
まきちゃんの本を開くと、今日は「逆質問」がテーマでこれも面接では定番の質問だ。私は面接官の「何か質問はありますか?」の質問に対して、早く帰りたかったので「特にありません」と早々に席を立って面接を切り上げていたが、これは問題なかったのか。
まきちゃんは説明を始める。
「逆質問を軽視する応募者は多いようだけど、バカなのかしら。これは応募者にとって『ラストチャンス』なのよ。志望動機や退職理由、その他想定外の質問に答えられずマイナス評価をつけられたとしても、面接官が最後に必ず聞く『何か質問ありますか?』の逆質問の返答次第ではマイナスを覆せるチャンスなのよ」
問題ないどころか問題大あり過ぎて目も当てられない。私が面接で不採用になったのは「逆質問」を疎かにしたせいだと言ってもいいほどの致命的なミスをしてしまったようだ。しかし私の場合、誰でもできる単純作業のアルバイトに何を聞けというのか。
まきちゃんは説明を続ける。
「いいこと、これまでは面接官の質問に答える形式だったけど、逆質問では立場が逆転するの。応募者が主体的に面接官に質問できるのよ。面接官はね、この逆質問で応募者の『本気度』を量っているの。
・面接前にどれだけ当社のこと、仕事のことを調べてきたか
・当社の仕事に対してどれだけ本気で取り組む気があるのか
つまり、応募者にとってこの面接のためにどれだけ準備をしてきたか、アピールできる『最後のチャンス』なのよ。この機会を最大限に活かしなさい。
そうは言っても同じ職種なら仕事のことはわかっているし、同じ業界ならそのならわしもわかっている。取り立てて質問することなどないと思う人もいるかもしれないわね。
甘いのよ。だから不採用になるの。
同じ職種でも会社が違えば仕事の進め方も違うし、同じ業界でも会社が違えば働く人も違うし、雰囲気も変わってくる。経験が十年あっても当社では『新人』なの。新人なら新人らしくもっとやる気を見せなさい」
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作者がやる気になります。




