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面接は最初の6秒で決まる  作者: 坂月陽
第一章 第一印象
3/39

第一印象3

私は話している途中で声が上ずったり、裏声のように甲高くなる声が苦手だ。これは男性に多い現象だが、それまで低音で話していた声が感極まると突然高くなる。


話を集中して聞いているのに突然声が高くなると、その変化に集中力が途切れてしまう。それが繰り返されると不快感に変わり、相手にどれほどの肩書きがあろうとも話を聞く気が失せてしまう。


動画の再生時間は長くても十分前後なので我慢して最後まで観ることができたものもあったが、愚痴が多く聞いているだけで気分が沈んでいく。


次にスライドを使った、手の込んだ動画を見つけたのでこれを最後にしようと観てみるが、参考になる部分はなくはないが冗長で内容の薄いものだった。


そもそも採用担当者は採用の決断をするプロではあっても、相手に何かを伝えるプロではない。そこに齟齬が生じて、視聴者の求める情報を伝えられなかったのかもしれない。


動画を一通り観終わると、私はお湯を沸かしにキッチンへ向かった。やかんに水を入れ、ガスを点火してやかんに火をかける。水が沸騰するまでの間、キッチンを歩きながら動画の振り返りをすることにした。


今日観た動画は三つのパターン、「顔出し」と「顔出しなし」、そして「スライド」だ。それぞれに特徴があり、面接官と応募者の立場から話を聞けた。


まず、彼らはタレントでも俳優でもなく、カメラの撮影にも動画の構成にも慣れていない「素人」なので演出に過剰な部分が多いのは仕方ない。目立たなければ再生数が上がらないのでそうしたのだろうが、それを受け入れない人もいる。私は考えた。


「普通ではダメなのか?」


多くが目立とうと過剰な演出をすれば、「普通」が逆に目立つことにならないか。皆がサムネで変顔をすれば、文字だけのキャッチコピーが逆に目を引かないか。


昨年の私の面接を振り返ってみると私は「普通」に接したつもりでも、面接官には「不快」と受け取られ、そこに齟齬が生じたのかもしれない。


面接官の質問に対して「はい」と「いいえ」の返事の後に続く説明が、冗長で的を射ていなかったのかもしれない。なんだ、私も彼らと変わらないではないか。



ご覧いただきありがとうございます。

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