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面接は最初の6秒で決まる  作者: 坂月陽
第九章 空白期間
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空白期間1

五時三十分。いつもの時間にアラームは鳴り、それを止めると雨音がかすかに聞こえた。私は起き上がり、カーテンを開け窓を開けると道には水たまりができていて、その上を雨粒が強く叩いていた。


「雨だから今日は朝ジョグを止めようか?」


少し前の私なら、雨を確認すると横になり目を閉じて二度寝をしただろうが、今は違う。むしろやる気がみなぎり、すぐにでも家を出るような勢いさえあった。


今日は雨なので朝日を拝むことはできない。しかし、雨雲の向こうに朝日は昇り、雨の日でもセロトニンは分泌される。私は大きく伸びをしてから着替え、傘を持って家を出た。


エントランスを出ると、すぐに雨の匂いがした。雨は思ったほど強くなかったが、傘が必要なくらいには降っている。これだといつものコースは走れない。私は傘を差し、まずは中継地点のバス停へ向かう。


まきちゃんは「朝散歩」と言っていたが、私が散歩したのは初日の数分だけで、それからは歩くように走るジョギングを続けている。ほんの少し歩みを速めるだけでリズムができ、足裏からの振動と呼吸音に集中することで雑念は遮断され心静かな状態を保てる。


バス停には雨にも関わらず今日も長い列ができていた。当たり前だ、雨だからといって会社は休みにならない。問題は雨が降っているとわかっていて、それでも外へ出る「気持ち」のほうだ。


雨が降れば肩や腕だけでなく靴の中までずぶ濡れで不快感は頂点に達する。傘は余計な荷物になり、片方の手が塞がって不便極まりない。本音を言えば雨の日は休みたいが、百歩譲って始業時間を遅らせてほしいのが正直な気持ちだろう。


しかし、社会人たるものそんな甘えが通用するはずもなく、六時過ぎのバス停では傘を差しながら不快感や不便を押し殺してバスが来るのを皆が待っている。私は無職の期間が長いせいか、いつの間にか社会の厳しさを忘れてしまっていたようだ。


目的地のコンビニに着き、いつもの朝食セットを買って店を出る。帰りは走りながら右手に傘を、左手で買い物袋を持つのでかなり不便だが、バス停でバスを待つ彼らに比べれば私が感じる不便など無いに等しい。今後は雨が降れば買い物の帰りはこのスタイルなので「慣れるしかない」と自分に言い聞かせた。



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