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面接は最初の6秒で決まる  作者: 坂月陽
第八章 退職理由
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退職理由2

建前と本音の使い分けか……。私は嘘をつくのが苦手なので、嫌いな人間の前で笑うことなどとてもできない。そんな私がどうやって建前を使い分けることができるのか。


まきちゃんは退職理由について具体的な提案をする。


「退職理由はネガティブな理由をポジティブなものに変えること。面接官なら皆そう言うわ。なぜならポジティブな応募者に入社してもらいたいから。人は明るい場所に集まるものよ。だったら面接のときだけでも明るく振る舞いなさい。退職理由の変換過程の一例を挙げてみるから参考にしてみて。


・給料が安いから退職した(本音)

・もっと『専門性』を高めれば給料が高くなるのでは?(仮説)

・もっと専門性の高い仕事に取り組みたくて退職した(建前)


本音と建前の間に『仮説』という橋をかけて橋渡しをしてあげるの。なぜ自分は退職したのか、どうすれば退職しなかったのかを突き詰めれば仮説にたどり着くわ。それは概ね次のキーワードになることが多いの。


・専門性

・成長性

・自由な環境


キーワードにたどり着いたら、後は『作文』よ。ポジティブな言葉で自分が活躍する、新しい世界をイメージしながら書いてみて」


退職理由はポジティブな言葉を用いた作文。本音を突き詰めれば「キーワード」にたどり着くとまきちゃんは言う。


私はこの数日間、本音を突き詰めているがまだキーワードにたどり着けていない。おそらく「何か」を見落としているのだろう。もう一度最初の手順に戻って考えてみる。私が前職を退職した理由を書き出してみた。


・給料が安い

・毎月の強制飲み会

・社内の雰囲気が気持ち悪い


思い返すと事務作業をしていたある日の夕方、次の休日に社内行事で「フットサル」をやると私の元へ回覧板が回ってきた。


当然、不参加に丸をして提出すると総務から矢のような内線が入り、「参加しなければ賞与に影響するわよ」と半ば脅されたことが退職を真剣に考えるきっかけになった。


彼女はコンプライアンス研修の講師で「パワハラは絶対に許しません」と声高に叫んでいたが、脅しはパワハラの類ではないのか。


私はアルバイトも含めて多くの会社を見てきたが、貴重な休日に社員が強制参加してフットサルする会社など見たことがない。この会社は他にもおかしなところが多く、それは同期も同じことを思っていたようだ。


「なんか宗教みたいで気持ち悪いよね」

「洗脳される前に辞めたほうがよくね?」


渋々行ったフットサルの帰り道、私たちは会社の「思うところ」を言い合って盛り上がった。



ご覧いただきありがとうございます。

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