準備3
ブラック企業の謳い文句はネットの普及でごまかしができなくなり、「アットホームな職場」はもはや定番となってしまったが、これらの多くは離職率の高い「営業職」でよく目にする。
私は不動産会社の元社員なので怪しい謳い文句には慣れているが、昨今は新卒や職歴の浅い若手には見抜くのが困難なほど巧妙になってきている。まきちゃんの言うとおり怪しいと思ったら調べる癖をつけないと大変なことになる。
そして求人広告で盲点だったのは会社の求める「人物像」についてだ。真面目に働くとアピールすれば面接官には伝わると思っていた私は浅はかだった。
まきちゃんによれば面接官が見ているのは応募者の人柄よりも人物像とどれだけ一致しているか。応募者が二人いれば「ずれ」が少ないほうを彼らは選ぶという。なるほど、求人広告を読み込んで「人物像」をイメージしてそれに近づけばいいわけか。
まきちゃんは続いて「会社のHP」について説明をする。
「求人広告が応募者に向けて書かれたものならば、会社HPは投資家向け、または社会へアピールするために書かれたものよ。会社の経営状況などが記載された『IR情報』は理解するのに勉強が必要だけれど、少なくとも次の三つには目を通して。
・企業理念
・事業内容
・最新ニュース
その会社の主力商品は何か、現在力を入れている商品は何か、そしてどんな思いで商品を作っているか、すべて会社のHPに書かれてあるわ。それを読み込めば会社の『強み』がわかるはずよ。同業他社と比べてどこに『優位性』があるのか調べるの。
面接では自分をアピールするだけでなく、その会社でどのように貢献できるかの説明も求められるわ。それに返答するには自分を知り会社を知り、そして会社の一部分として相手にイメージさせることが求められるの」
私は応募先の強みも優位性も何も知らず、何も調べずに面接を受けに行った。それが誰でもできる単純作業だとしても、その工程には意味がありルールがある。
応募してから面接まで十分に時間があるのに、何の準備もせずに行くのは面接の「マナー違反」ではないか。当日だけ取り繕っても面接官にはすぐに見抜かれる。マナー違反をした応募者が不採用になるのは当たり前だ。
まきちゃんは最後に「会社の口コミサイト」について説明する。
「求人広告や会社HPはいわば会社の『表の顔』で外注したライターに書かせた着飾った姿よ。一方で、会社の口コミサイトは元社員が『裏の顔』をありのままに語っているわ。
・残業が多い
・仕事を誰も教えてくれない
・朝礼で社訓を唱和する
面接は応募先の社内で行われるので雰囲気を少しは感じることができるけど、入社して働いてみないと会社の本当の姿はわからないわ。表の顔と裏の顔、人間がそうであるように会社にも『二面性』があるの。だって会社は人が集まってできた組織なのだから」
入社してから「こんなはずではなかった」、「聞いていた話と違う」と思った人は少なくないはずだ。私は前職で定時に帰らせてもらったが、上司はタイムカードを一度切ってから席に戻り残業をしていた。いわゆる「サービス残業」だ。タイムカードを切らないと総務に怒られるらしい。
私はこの本に出会い、社会の厳しさを改めて思い知らされた。会社で働くことも、そして会社で働くための面接もどちらも大変だ。それでも私はやるしかない。面接に合格するための努力を「採用通知」を受け取るその日まで続けるしかないのだ。
面接のルール6:
・面接前にする準備は三つある。
・求人広告、会社HP、口コミサイトは調べて言語化する。
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作者がやる気になります。




