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第九十六話 地下の攻防、最後の追跡


地下通路の出口へと続く階段を、コウとメイファンは駆け上がっていた。彼らの背後からは、チャンの怒鳴り声と、護衛たちの足音が迫ってくる。アジトの扉は閉ざしたものの、あれほどの電子ロックを突破したメイファンなら、チャンの手下もすぐに開けてくるだろう。


「くそっ…! 奴らが追ってくるぞ!」


コウは、そう叫び、FN SCARを構え、後ろを振り返った。しかし、視界に入ってきたのは、暗闇に紛れたいくつかの人影だけだった。


「わかってる! だが、ここで足止めを食うわけにはいかない!」


メイファンは、コウの隣を走りながら、グロック17を構え、階段を登っていく。彼女の顔には、疲労の色が浮かんでいるが、その目は、まだ生気を取り戻していない。


階段を登りきると、そこは、バンコクの裏路地に繋がる、古い倉庫の裏口だった。倉庫の中は、薄暗く、埃っぽい空気が漂っている。コンテナが積み上げられ、複雑な通路が形成されている。


「…メイファン、どうする!?」


コウは、メイファンに尋ねた。


「奴らも、この倉庫を通ってくるはずだ。ここで、奴らを迎え撃つ!」


メイファンは、そう言って、コウに銃口を向けた。


「…は? 何を言って…」


コウは、メイファンの言葉に、驚きを隠せないようだった。


「フン…、俺は、お前を、絶対に死なせやしないさ。安心して、コウ。俺は、お前を、絶対に死なせやしないさ」


メイファンは、そう言って、コウに微笑んだ。その言葉に、コウは、わずかに安堵した。


その時、倉庫の奥から、複数の足音が聞こえた。


「…来たぞ!」


コウは、身構えた。


倉庫の奥から、武装した男たちが、姿を現した。彼らが手にしているのは、H&K MP7。その銃口が、コウたち全員に向けられている。


「てめえら…! 何者だ!」


男の一人が、コウたちを睨みつけ、叫んだ。


「…悪いが、お前たちに教える義理はない」


コウは、そう言って、FN SCARを構え、男に銃口を向けた。


「…くそっ…! やっちまえ!」


男が叫び、一斉に発砲した。


タタタタタタタ!


H&K MP7の軽快な銃声が、倉庫に響き渡る。コウは、素早くコンテナの陰に身を隠した。銃弾が、コンテナの側面を叩き、激しい火花が散る。


「メイファン! 援護する!」


コウは、メイファンに叫び、反撃を開始した。FN SCARの重厚な銃声が響き渡り、銃弾は、男たちの頭部や胸を正確に貫いていく。


「フン…、やるじゃねえか、コウ」


メイファンは、そう言って、グロック17を構え、男たちに応戦した。彼女は、コウの銃撃に合わせ、アクロバティックな動きで、銃弾をかわしていく。


銃撃戦は、熾烈を極めた。倉庫は、護衛たちの血と硝煙で満ちていた。しかし、護衛たちの数は、圧倒的だった。彼らは、コウとメイファンの銃撃をかわしながら、コウたちに銃弾の雨を降らせる。


「くそっ…! キリがねえ!」


コウは、そう叫び、歯ぎしりをした。彼は、護衛たちの数が多すぎることに、絶望的な気分になっていた。


その時、メイファンが、コウに叫んだ。


「…コウ! こっちだ!」


コウは、メイファンの声に、振り返った。メイファンは、壁に隠れながら、コウに手招きをしている。


「…わかった!」


コウは、そう言って、メイファンの元へと駆け寄った。


「…メイファン、どうする!?」


コウは、メイファンに尋ねた。


「あのコンテナは、この倉庫の構造上、最も弱い部分だ。このコンテナを撃ち抜けば、奴らを足止めできるはずだ」


メイファンは、そう言って、コウに耳打ちした。


「…な…!」


コウは、メイファンの言葉に、驚きを隠せないようだった。


「行くぞ!」


メイファンは、そう叫び、コンテナに銃口を向けた。


「…待て! それは、あまりにも危険だ!」


コウは、メイファンを制止しようとした。


「フン…、ビビッてんのか、コウ」


メイファンは、そう言って、コウを嘲笑うかのように言った。


コウは、メイファンの言葉に、何も答えることができなかった。彼は、ただ静かに、メイファンを見つめていた。


「…行くぞ!」


メイファンは、そう叫び、引き金を引いた。


ダダダダダダダ!


グロック17の軽快な銃声が、倉庫に響き渡る。銃弾は、コンテナの側面を貫き、中の液体が、勢いよく流れ出した。


「…くそっ…! 何だ、これは…!」


護衛たちが叫んだ。


その液体は、可燃性の物質だった。メイファンは、銃弾で火花を散らし、液体に引火させた。


ドォン!!


爆発音が響き、倉庫は、炎に包まれた。護衛たちは、炎の壁に阻まれ、コウたちを追うことができなくなった。


「…よし! 行くぞ!」


コウは、そう叫び、メイファンと共に、倉庫を後にした。


倉庫の外は、バンコクの夜の闇が広がっている。彼らの体は、汗と硝煙で汚れ、ボロボロになっていた。しかし、彼らの心には、まだ希望が残っていた。


「…メイファン。ありがとう」


コウは、メイファンに感謝の言葉を口にした。


「フン…、礼には及ばないさ。それより、これからだ。奴らは、俺たちを、絶対に逃がしはしない」


メイファンは、そう言って、コウを睨みつけた。


コウは、メイファンの言葉に頷き、彼らは、バンコクの夜の闇へと、再び姿を消した。

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