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第九十三話 闇の核心、潜入の代償


バンコクの地下深く、熱気と湿気がこもる暗い通路を、コウとメイファンは慎重に進んでいた。彼らが辿り着いたのは、香港三合会タイ支部の拠点へと続く、巨大な地下倉庫の入り口だった。分厚い鉄扉は固く閉ざされ、その前には2人の護衛が立っている。彼らはH&K MP5SDを構え、周囲を警戒していた。銃身にサイレンサーが装着されたMP5は、消音効果が高く、夜間の奇襲には最適だ。


「正面から行くか?」


コウは、FN SCARを構え、メイファンに囁いた。彼の声は、緊張と興奮でわずかに震えている。


「いや。正面から行けば、確実に奇襲に気づかれる。奴らのアジトは、この地下倉庫の奥にある。奇襲の失敗は、全滅を意味する」


メイファンは、そう言って、コウを制止した。彼女は、懐からサイレンサー付きのグロック17を取り出した。


「俺が、向こうの護衛をやる。お前は、こっちの奴を頼む」


メイファンは、そう言って、コウにアイコンタクトを送った。


コウは、メイファンの言葉を信じ、頷いた。彼らは、互いに背中を預け、静かに、そして素早く、護衛たちに近づいていく。


「…行くぞ!」


コウが、そう叫び、同時に、メイファンが引き金を引いた。


シュッ…パン!


サイレンサーが装着されたグロック17から放たれた銃弾は、護衛の頭部を正確に貫き、彼は音もなく、その場に崩れ落ちた。もう一人の護衛は、仲間の死に気づき、コウの方を振り向いた。


パン!


コウが、FN SCARを構え、銃弾を放った。銃声が地下空間に響き渡り、護衛は、血を噴き出して倒れた。


「…よし」


コウは、そう呟き、護衛たちの死体を確認した。彼は、護衛たちの持っていたMP5SDを奪い取り、弾倉を抜き、自分の銃に差し込んだ。


「行くぞ」


コウは、そう言って、メイファンを促した。


二人は、静かに地下倉庫へと侵入した。倉庫の中は、薄暗く、空気が淀んでいる。いくつものコンテナが積み上げられ、その間には、複雑な通路が形成されていた。


「…メイファン、本当に、この通路でいいのか?」


コウは、メイファンに尋ねた。


「ああ。この通路は、アジトの裏口へと続いている。だが、奴らがこの通路を警戒していないとは思えない」


メイファンは、そう言って、グロック17を構え、警戒を怠らなかった。


その時、コンテナの陰から、複数の足音が聞こえた。


「…来たぞ!」


コウは、身構えた。


コンテナの陰から、武装した男たちが、姿を現した。彼らが手にしているのは、AK-47と、SIG P226。東南アジアの裏社会では、最も一般的な武器だ。


「てめえら…! 何者だ!」


男の一人が、コウたちを睨みつけ、叫んだ。


「…悪いが、お前たちに教える義理はない」


コウは、そう言って、FN SCARを構え、男に銃口を向けた。


「…くそっ…! やっちまえ!」


男が叫び、一斉に発砲した。


ダダダダダダダ!


AK-47の無骨な銃声が、地下倉庫に響き渡る。コウは、素早くコンテナの陰に身を隠した。銃弾が、コンテナの側面を叩き、激しい火花が散る。


「メイファン! 援護する!」


コウは、メイファンに叫び、反撃を開始した。FN SCARの重厚な銃声が響き渡り、銃弾は、男たちの頭部や胸を正確に貫いていく。


「フン…、やるじゃねえか、コウ」


メイファンは、そう言って、グロック17を構え、男たちに応戦した。彼女は、まるでダンスを踊るかのように、アクロバティックな動きで、銃弾をかわしていく。


「くそっ…! なぜ、こんな奴らが…!」


男たちが叫んだ。


その時、メイファンが、懐から複数の手榴弾を取り出した。


「…これでも食らいな!」


メイファンは、そう言って、手榴弾を男たちに投げつけた。


ドォン!!


爆発音が響き、男たちは次々と吹き飛んだ。地下倉庫は、血と硝煙で満ちていた。


コウは、メイファンの戦いぶりを見て、驚きを隠せないようだった。彼は、メイファンが、ただのハッカーではないことを、改めて思い知った。


「…よし。行くぞ」


コウは、そう言って、メイファンを促した。


「ああ。だが、ここから先は、さらに危険だ。奴らのアジトは、もうすぐそこだ。気を抜くなよ、コウ」


メイファンは、そう言って、コウを睨みつけた。


コウは、メイファンの言葉に頷き、彼らは、地下倉庫の奥へと、再び姿を消した。

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