表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/101

第三十話:最後の銃声


地下鉄の駅の奥、秘密の通路を抜けた先に、広大な地下空間が広がっていた。そこは、ゾーイの組織が持つ、最後の要塞だった。無数のコンピューターが並び、不気味な青い光を放っている。その中央に、ゾーイは立っていた。


「来たわね、コウ。あなたを待っていたわ。」

ゾーイが、冷たい笑みを浮かべて言う。彼女の手には、金色の装飾が施された、美しい拳銃が握られていた。


「ゾーイ、もうやめろ。お前のやり方は間違っている。」

コウが、ゾーイに向かって言う。彼の声は、静かだが、決意に満ちていた。


「間違っている?私が?あなたたちこそ、間違っているわ!この腐りきった世界を、私が変えてやる!」

ゾーイが叫ぶと、彼女の背後から、無数の戦闘ロボットが姿を現した。


ジェイクは、サブマシンガンを構え、戦闘ロボットに照準を合わせた。

「コウ、ゾーイを頼む!俺が、こいつらを止める!」

ジェイクが叫び、戦闘ロボットに向かって突進していく。


メイファンは、バレットM82A1対物ライフルを構え、戦闘ロボットを狙った。彼女の目は、獲物を狙う鷹のように鋭かった。

「ジェイク、無理はしないで。私も手伝うわ。」

メイファンが言うと、彼女は、次々と戦闘ロボットを撃ち抜いていく。


ドドォォォン!


重く、そして鈍い発砲音が、地下空間に響き渡る。メイファンの銃弾は、戦闘ロボットの装甲を貫通し、次々と破壊していく。


その隙に、コウは、ゾーイに向かって駆け寄っていった。

「ゾーイ、お前は、何のためにこんなことを…!」

コウが叫ぶ。


「私は、この世界を救いたいだけよ。この世界は、もう手遅れだわ。だから、私が、全てをリセットする!」

ゾーイが叫び、彼女は、コウに向かって発砲した。


パンッ!


コウは、素早く身をかわし、ゾーイに反撃した。しかし、ゾーイの銃弾は、彼の腕をかすめ、血が滲んだ。


ゾーイは、再びコウに発砲した。

パンッ!パンッ!パンッ!


コウは、銃弾をかわしながら、ゾーイに近づいていく。彼は、ゾーイの銃撃のパターンを解析し、彼女の隙をついて、接近しようとしていた。


ジェイクは、戦闘ロボットとの激しい戦闘を繰り広げていた。彼のサブマシンガンの弾倉は、ほぼ空になっていた。

「くそっ、キリがないな!」

ジェイクが叫ぶ。


その時、メイファンがジェイクの横に立ち、戦闘ロボットに向かって、バレットM82A1を連射した。

「ジェイク、大丈夫!?」

メイファンが心配そうに言う。


「ああ、助かったぜ、メイファン!」

ジェイクが感謝の言葉を口にする。


2人は、協力して戦闘ロボットを破壊していく。しかし、戦闘ロボットの数は、圧倒的だった。彼らは、徐々に追い詰められていく。


その時、コウがゾーイに、ついに接近した。

「ゾーイ、もう終わりだ!」

コウが叫び、ゾーイの銃を叩き落とした。


ゾーイは、驚きの表情を浮かべた。彼女は、コウの動きを読み切れなかったのだ。

「…どうして…!」

ゾーイが呟く。


「お前のやり方では、何も変わらない。ただ、破壊するだけだ。」

コウが、ゾーイに言う。


その時、ゾーイは、コウの隙をついて、懐からナイフを取り出し、コウに斬りかかった。

「うるさいわ!私は、私の信じる道を突き進む!」

ゾーイが叫ぶ。


コウは、ゾーイのナイフを素早くかわし、彼女の腕を掴んだ。

「…ゾーイ、お前を、もう一人にしない。」

コウが、ゾーイに優しく語りかける。


ゾーイは、コウの言葉に、驚きの表情を浮かべた。彼女の瞳には、涙が浮かんでいた。

「…コウ…。」

ゾーイが呟く。


その時、コウの背後から、最後の戦闘ロボットが現れ、コウを狙っていた。

「コウ、危ない!」

ジェイクが叫ぶ。


メイファンは、バレットM82A1を構え、戦闘ロボットに照準を合わせた。しかし、彼女の弾倉は、空だった。

「…くそっ…!」

メイファンが悔しそうに叫ぶ。


コウは、戦闘ロボットの気配に気づき、ゾーイを庇いながら、身をかわそうとした。しかし、間に合わない。


その時、ゾーイが、コウを突き飛ばした。

「コウ、逃げて!」

ゾーイが叫び、彼女は、戦闘ロボットの銃弾を、その身に受けた。


ダダダダダダダダダ…!


ゾーイの体が、銃弾を浴び、崩れ落ちる。コウは、ゾーイに駆け寄り、彼女の体を抱きかかえた。

「ゾーイ…!どうして…!」

コウが、ゾーイの体を揺さぶりながら叫ぶ。


ゾーイは、コウの顔を見て、微笑んだ。

「…私は…間違っていたのかもしれない。でも…あなたに出会えて…よかった…。」

ゾーイが、そう言うと、彼女の目は、ゆっくりと閉じられた。


コウは、ゾーイの体を抱きしめ、涙を流した。彼は、ゾーイを救うことができなかった。


ジェイクは、メイファンの隣に立ち、コウの様子を見ていた。

「…終わったな。」

ジェイクが、静かに呟く。


メイファンは、涙を流しながら、ジェイクに寄り添った。

「…彼女は、本当は、救いを求めていたのかもしれないわね。」

メイファンが、悲しげに言う。


3人は、静かにその場を去っていった。ゾーイの死は、彼らの心に、深い傷を残した。しかし、彼らの旅は、まだ、終わらない。


コウ、ジェイク、メイファンの3人は、夜の闇に紛れて、街の路地裏を歩いていた。彼らの顔には、疲労と、悲しみが浮かんでいた。


「…これから、どうする?」

ジェイクが、コウに問いかける。


コウは、空を見上げた。夜空には、満月が輝いていた。

「…分からない。でも、私たちは、進まなければならない。ゾーイが残した、この世界を、私たちが、変えなければならない。」

コウが、静かに言う。


ジェイクとメイファンは、コウの言葉に、頷いた。彼らの旅は、ゾーイとの戦いで、一つの区切りを迎えた。しかし、彼らの前に広がる道は、まだ、遠く、険しいものだった。


彼らは、静かに、そして力強く、未来へと向かって歩き続けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ