第百二十六話 天空の要塞、激突の序曲
イリーナの居城へと続く通路の最奥部、そこには武装した護衛たちがまるで壁のように立ち塞がっていた。彼らは、精鋭中の精鋭で、その手には最新鋭の短機関銃H&K MP7が握られている。コウ、メイファン、ホアキン、クロエ、マルタは、その光景に言葉を失った。
「…クソッ! こいつら、数が多すぎる…!」
マルタが、Izhmash Saiga 12を構え、震える声で呟いた。彼女の顔には、恐怖の色が浮かんでいる。
「待て。正面から行くんじゃねえ」
コウは、冷静に護衛たちの配置を分析した。彼らは、通路の幅に合わせて、三列に並んでいる。その列の間には、わずかな隙間もない。
「どうするんだ、コウ!?」
ホアキンが、焦ったように尋ねた。
「…俺が囮になる」
コウは、そう言って、FN SCARを構え、護衛たちに銃口を向けた。
「はは! 面白い。お前の命が、俺たちの命と引き換えか」
メイファンが、コウの言葉を嘲笑うかのように言った。
「俺は、絶対に死なない」
コウは、そう言って、護衛たちに向かって、猛然と走り出した。
「…コウ!」
クロエが叫んだ。
護衛たちは、コウの行動に驚き、一斉に銃口を向けた。
タタタタタタタ!
H&K MP7の軽快な銃声が響き渡り、コウの体が銃弾の嵐に晒された。彼は、通路の壁を蹴って身をかわし、床を滑るように走り、銃弾を避けていく。しかし、銃弾は、コウの横をかすめ、彼の腕を掠めた。
「…チッ…!」
コウは、舌打ちし、通路の端にある、配電盤の陰に身を隠した。
「くそっ…! なぜ、こんな奴が…!」
護衛の一人が、コウの動きに、驚きを隠せないようだった。
その一瞬の隙に、クロエがAA-12を構え、護衛たちに応戦した。**ダダダダダダダ!**という機関銃のような怒号が響き渡り、護衛たちは次々と血を噴き出して倒れていく。
「…クロエ! よくやった!」
マルタが叫び、Izhmash Saiga 12を構え、クロエの援護に回った。
「感謝するぜ、コウ!」
メイファンが、グロック17を構え、護衛たちに応戦する。
コウは、配電盤の陰から、FN SCARを構え、護衛たちの頭部や胸を正確に狙って発砲した。**パン!パン!パン!**という乾いた音が響き、護衛たちは次々と倒れていく。
しかし、護衛たちの数は、まだ尽きない。通路の奥から、さらに多くの護衛たちが姿を現した。
「くそっ…! まだいるのか!」
マルタが叫んだ。
その時、コウは、配電盤のスイッチを操作した。
ガチャン!
という音が響き、通路の照明が消えた。通路は、一瞬にして、漆黒の闇に包まれた。
「…何をする、コウ!?」
クロエが叫んだ。
「大丈夫だ! 俺の指示に従え!」
コウは、そう言って、護衛たちに叫んだ。
「てめえら、照明をつけろ!」
護衛たちが叫び、通路の照明をつけようとした。しかし、照明はつかない。
「…よし。今だ!」
コウは、そう叫び、護衛たちに向かって、発砲を続けた。
銃声と閃光が、闇の中に飛び散る。護衛たちは、コウの銃撃に、動揺し、互いに誤射し始めた。
「…くそっ…! 誰だ、こいつは!」
護衛たちが叫んだ。
コウは、その混乱に乗じて、護衛たちを次々と倒していく。彼のFN SCARは、闇の中でも正確に護衛たちを狙い、銃弾を撃ち込んでいく。
「…素晴らしい…! この男は…!」
クロエは、コウの戦いぶりを見て、驚きを隠せないようだった。
マルタも、コウの行動に、感嘆の声を上げた。
「…こいつは、本当にただのサラリーマンなのか…?」
マルタは、そう呟いた。
コウは、護衛たちを全て倒すと、通路の奥へと走り出した。彼らは、もう、イリーナの城塞へと続く通路を、恐れることはなかった。
通路の先には、巨大なエレベーターがあった。コウたちは、エレベーターに乗り込み、イリーナの待つ最上階へと向かった。
エレベーターが、ゆっくりと上昇していく。コウたちは、互いに顔を見合わせ、静かに、そして力強く頷いた。
「…もうすぐだ…」
コウは、そう呟いた。
エレベーターの扉が開くと、そこには、イリーナの豪華なオフィスがあった。窓の外には、ポート・ノーウェアの街が一望できる。しかし、その光景は、コウにとっては、もはや地獄ではなかった。それは、彼が、イリーナの支配から解放される、最後の戦いの舞台だった。
「…コウ…」
イリーナが、コウの名を呼んだ。彼女は、ソファに座り、コウたちを静かに見つめている。その手には、FN Five-seveNが握られていた。
「…イリーナ…!」
コウは、イリーナを睨みつけた。
「よく来たわね、コウ。私の支配から逃れようと、こんなところまで…」
イリーナは、そう言って、冷たい笑みを浮かべた。
「俺は、お前の支配から逃れるために、ここに来た。そして、お前を…お前を捕らえる」
コウは、そう言って、イリーナに銃口を向けた。
「…やってみなさい。あなたには、私を捕らえることはできない」
イリーナは、そう言って、ニヤリと笑った。




