表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
118/137

第百十八話 裏切り、そして三つ巴の銃撃戦

ポート・ノーウェアの港は、コウの裏切りによって、新たな戦場と化した。クロエとマルタは、信じられないといった表情でコウを見つめていた。彼の目は、まるで別人のように冷たく、そして鋭く光っている。


「…コウ、あなた、本当に私たちを裏切る気なの?」


クロエが、震える声で尋ねた。


「裏切るのは、お前たちだ。イリーナの命令に盲目的に従い、俺の自由を奪おうとする。そんな奴らと組むくらいなら、俺は、俺のやり方で生きる」


コウは、そう言って、ベレッタM92Fの銃口をクロエとマルタに向けた。


「…待って、コウ…!」


マルタが、叫んだ。しかし、コウは、マルタの言葉を無視し、引き金を引いた。


パン!パン!パン!


銃弾は、マルタの横をかすめ、彼女は身を伏せてかわした。


「クロエ! こいつは本気だ!」


マルタが叫んだ。


「…わかってる!」


クロエは、そう言って、AA-12を構え、コウに銃口を向けた。


その時、コウの背後から、タスクの声が聞こえた。


「行くぞ、コウ! この場で、イリーナの手下どもを始末してやる!」


タスクは、そう言って、H&K MP5を構え、クロエとマルタに銃口を向けた。


「…タスク、待て!」


コウは叫んだ。彼の目的は、クロエとマルタを殺すことではない。この場から逃げ、イリーナの支配から逃れることだ。


しかし、タスクはコウの言葉を無視し、引き金を引いた。


タタタタタタタ!


H&K MP5の軽快な銃声が響き渡り、クロエとマルタの体が銃弾の嵐に晒された。彼女たちは、反射的にコンテナの陰に身を隠した。


「…くそっ!」


クロエは舌打ちし、タスクを睨みつけた。


「てめえ、何をする!」


マルタが叫んだ。


「イリーナの手下どもを始末する。それだけだ」


タスクは、冷たい声で言った。


コウは、タスクの行動に、顔をしかめた。彼は、タスクが、ただイリーナを排除するために、自分を利用しようとしていることに気づいた。


「タスク、俺の目的は、こいつらを殺すことじゃない!」


コウは、タスクに叫んだ。


「知るか! 邪魔をするなら、お前も殺す!」


タスクは、そう言って、銃口をコウに向けた。


その時、コウの背後から、銃声が聞こえた。


パン!パン!パン!


それは、メイファンの銃声だった。彼女は、コウがこの港に来ることを予見し、ひそかに彼を追跡していたのだ。


「…メイファン!」


コウは、驚いたように叫んだ。


「てめえ、何をする気だ!」


タスクは、メイファンに銃口を向けた。


「この馬鹿野郎から離れろ!」


メイファンは、荒々しい口調で叫び、タスクに銃弾を撃ち込んだ。


銃弾は、タスクの腕をかすめ、彼は痛みに顔を歪めた。


その隙に、メイファンはコウに駆け寄り、彼の腕を掴んだ。


「早く行くぞ!」


メイファンは、そう言って、コウを引っ張った。


コウは、メイファンの言葉に従い、タスクから逃げようとした。しかし、その時、クロエとマルタが、コンテナの陰から姿を現した。


「コウ、もう逃げ場はないぞ!」


クロエが叫び、AA-12を構えた。


「観念しろ!」


マルタも続いた。


コウは、クロエとマルタに挟まれ、絶望的な表情を浮かべた。彼の心には、怒りと絶望が渦巻いていた。彼は、自分の無力さを呪った。


その時、コウのスマホが震えた。見ると、知らない番号からメッセージが届いている。


『ジェイク。準備はできている。』


メッセージを読んだコウは、驚いたように目を見開いた。


「…ジェイク…?」


コウは、信じられないといった表情で呟いた。彼は、ジェイクがこの街にいることを知らなかったのだ。


「ジェイクだと? 誰だ、そいつは!」


タスクが叫んだ。


「俺の仲間だ! そして、お前を殺すために来た!」


コウは、そう言って、ベレッタM92Fをタスクに向けた。


パン!パン!パン!


銃声が響き渡り、タスクは、その場で崩れ落ちた。彼の体から、大量の血が噴き出し、床を赤く染めていく。


コウは、タスクの死体を見つめながら、安堵の息を吐いた。


「…ジェイク…!」


コウは、そう呟き、港の奥へと走った。


クロエとマルタは、コウの後を追おうとした。しかし、その時、港に停泊していた船から、大きな音が聞こえた。


「な、何だ…!?」


クロエが叫んだ。


船のハッチが開き、一人の男が姿を現した。彼は、ジェイクだった。


「コウ、こっちだ!」


ジェイクは、そう叫び、コウに手を差し伸べた。


コウは、ジェイクの手を掴み、船に乗り込んだ。メイファンも続く。


「…ジェイク…!」


コウは、ジェイクの顔を見て、涙を流した。


「もう大丈夫だ。俺が、お前たちをベネズエラに連れて帰る」


ジェイクは、そう言って、コウの肩を叩いた。


クロエとマルタは、その光景を、ただ呆然と見つめていた。彼女たちは、コウを捕らえることができなかった。


「…コウ…!」


クロエが、叫んだ。しかし、コウは、クロエの言葉に、何も答えなかった。彼は、ただ静かに、ベネズエラへと向かう船の上で、故郷の空を見上げていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ