第百十五話 バルドの牙
ポート・ノーウェアの廃工場は、一瞬にして地獄と化していた。バルドが構えたRPK-74の重厚な銃声が、コウの耳を劈く。**ダダダダダダダ!**という怒号が響き渡り、コウの体が銃弾の嵐に晒された。彼は、反射的に地面に身を伏せ、近くのフォークリフトの陰に飛び込んだ。金属のボディに、銃弾が火花を散らしながらめり込んでいく。
「…クソッ!」
コウは、フォークリフトの陰から、バルドを睨みつけた。彼のベレッタM92Fは、バルドの防弾ベストには全く効果がなかった。
「どうした、コウ! そのおもちゃみたいな銃で、俺を殺せると思っているのか!」
バルドは嘲笑うかのように叫び、再びRPK-74の引き金を引いた。**ダダダダダダダ!**という音が響き、フォークリフトが次々と蜂の巣にされていく。
その時、コウの背後から、クロエの声が聞こえた。
「馬鹿な真似はやめろ、コウ! 俺が手伝ってやる!」
クロエは、そう言って、AA-12を構え、バルドの背後から発砲した。**ダダダダダダダ!**という銃声が響き、バルドの背中に銃弾が命中した。
「…チッ!」
バルドは、舌打ちし、クロエに向かって銃口を向けた。
「貴様…!」
バルドは、クロエに向かってRPK-74を発砲した。**ダダダダダダダ!**という音が響き、クロエが身を隠したドラム缶が爆発する。
その一瞬の隙に、コウはフォークリフトの陰から飛び出し、バルドの顔を狙ってベレッタM92Fを発砲した。**パン!パン!パン!**と乾いた音が響き、銃弾はバルドの顔面をかすめた。
「…チッ!」
バルドは、再び舌打ちし、コウに向かって銃口を向けた。
「てめえ…!」
バルドは、コウにRPK-74を発砲しようとしたが、その時、コウが素早くベレッタM92Fの弾倉を抜き、新しい弾倉を素早く装填した。
カシャン
その音を聞き逃さず、コウは再びバルドの顔を狙って発砲した。**パン!**と乾いた音が響き、銃弾はバルドの眉間を正確に貫いた。
「…な…!?」
バルドは、目を見開いたまま、その場に崩れ落ちた。彼の体から、大量の血が噴き出し、床を赤く染めていく。
コウは、バルドの死体を見つめながら、安堵の息を吐いた。
「…馬鹿な真似しやがって…」
その時、クロエがコウに駆け寄り、彼の肩を叩いた。
「…助かったぜ」
コウは、クロエに感謝の言葉を口にした。
「当然だ。イリーナ様から、お前を無事に連れ帰るように命じられているからな」
クロエは、そう言って、コウに手を差し伸べた。
コウは、クロエの手を掴み、立ち上がった。
「…これで、俺の仕事は終わりか?」
コウは、クロエに尋ねた。
「いや、まだだ。イリーナ様は、お前を、この街の支配者として、新たな任務を与えるつもりだ」
クロエは、そう言って、ニヤリと笑った。
コウは、クロエの言葉に、絶望的な表情を浮かべた。彼は、イリーナの支配から、逃れることはできないと悟った。
その時、廃工場の奥から、マルタがIzhmash Saiga 12を構えて入ってきた。
「クロエ、どうした! バルドアは!?」
マルタが叫んだ。
「…マルタ、こいつは…」
クロエは、言葉を詰まらせた。
「…まさか、コウが…?」
マルタは、信じられないといった表情で、コウを見た。
コウは、マルタの視線に、何も答えることができなかった。彼は、ただ静かに、ベレッタM92Fを手に、バルドの死体を見つめていた。




