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第百七話:地下の激戦

マルタは、ホアキンとクロエを連れて、地下室の別の扉を突き破り、通路へと飛び出した。背後からは、ロベルトの私兵たちが放つAK-47の銃声が、怒号のように響き渡っている。ダダダダダダダダダダダダダッ!弾丸が、彼女たちが走り抜けたコンクリートの壁を容赦なく砕き、粉塵が舞い上がった。マルタは、ホアキンを抱えながら、クロエの腕を掴み、全速力で走る。


「クロエ、ホアキンを連れて、先に進んで!」


マルタは、そう叫ぶと、通路の角を曲がったところで、二人の背中を押した。彼女自身は、角に身を隠し、グロック19を構える。弾倉は、まだ満タンに近い。彼女は、深呼吸をし、神経を研ぎ澄ませる。


その時、角を曲がった一人の男が、マルタの前に姿を現した。彼は、マルタを認識するやいなや、AK-47の銃口を彼女に向けた。マルタは、男が引き金を引く前に、素早くグロック19を構え、男の眉間を正確に撃ち抜いた。パンッ!銃声と共に、男は、そのまま前のめりに倒れ込んだ。


「ちくしょう!どこだ!」


背後から、男たちの罵声が聞こえる。マルタは、冷静に、銃口を向け、次の男を待ち構えた。


通路の奥から、複数の男たちが、一斉に姿を現した。彼らは、マルタが一人で、しかも非武装の人間を連れていると考えていたのだろう。その油断が、彼らの命取りとなった。マルタは、男たちがこちらに照準を合わせる前に、即座に発砲した。


パン!パン!パン!パン!


立て続けに、四発の銃声が響く。弾丸は、男たちの頭部や胸部を正確に撃ち抜いた。男たちは、悲鳴を上げる間もなく、次々と倒れ込んでいく。マルタは、素早く弾倉を確認し、残弾が少ないことを知る。彼女は、男たちの死体を踏み越え、彼らが持っていたAK-47を拾い上げた。そして、弾倉を抜き取り、自分のグロック19の弾倉と交換した。AK-47の弾倉は、グロック19には使用できないが、彼女は、弾薬が不足することを懸念し、念のために拾い上げたのだ。


その時、背後から、足音が聞こえた。マルタが振り返ると、そこに立っていたのは、ロベルトだった。彼の手に握られているのは、FN SCAR-Lだ。


「…マルタ。お前は、この場所から、ホアキンを連れ出すことはできない」


ロベルトは、冷たく告げた。彼は、SCAR-Lのセレクターをフルオートに切り替える。マルタは、思わず息をのんだ。SCARは、AK-47よりも高性能なアサルトライフルだ。その火力は、彼女のグロック19では太刀打ちできない。


「…ロベルト。私は、あなたを殺しに来たのではない。ただ、ホアキンを守るために、ここにいるだけだ」


マルタは、静かに言った。


「…お前が、ホアキンを殺すつもりがないなら、私を殺すしかないな」


ロベルトは、獰猛な笑みを浮かべた。彼は、SCARの銃口をマルタに向け、引き金を引こうとする。


ドガガガガガガガガガガガガガガガガッ!


その時、ロベルトの背後から、銃声が響いた。ロベルトは、驚いて振り返る。そこに立っていたのは、フェリックスだった。彼の手に握られているのは、HK416アサルトライフル。彼は、ロベルトの背後から、ロベルトの私兵たちを次々と撃ち倒していく。


「…フェリックス…なぜ、お前がここに…」


ロベルトは、驚きと同時に、怒りを覚える。


「…ロベルト様。私は、ホアキン様の命令で、ホアキン様をお守りするために、ここに来ました」


フェリックスは、冷たく答える。彼は、ホアキンが、自分とメイファンを、この地下施設に、ロベルトを誘き出すための『餌』として使ったことを知っていた。彼は、ホアキンの冷酷な計算に、戦慄していた。


ロベルトは、SCARの銃口をフェリックスに向け、引き金を引いた。ドガガガガガガガガガガガガガガガガッ!弾丸が、フェリックスの身体を襲う。しかし、フェリックスは、即座に身をかわし、柱の陰に身を隠した。


マルタは、その隙を逃さなかった。彼女は、ロベルトに突進し、彼のSCARを蹴り上げた。SCARは、ロベルトの手から離れ、床を滑っていく。ロベルトは、驚いて、マルタを見つめる。


「…お前…!」


ロベルトが叫ぶと、マルタは、彼の顔面を蹴りつけた。ロベルトは、よろめき、その場に倒れ込む。マルタは、彼の首に、腕を巻き付けた。


「…ロベルト。あなたは、ホアキンを傷つけた。私は、あなたを許さない…」


マルタは、冷たい声で囁いた。彼女の腕に、力がこもる。ロベルトは、マルタの腕を振り払おうとするが、彼女の力に抗うことはできない。彼の顔は、苦痛に歪んでいく。


その時、通路の奥から、クロエとホアキンが、駆け寄ってきた。ホアキンは、マルタが、ロベルトを絞め殺そうとしているのを見て、叫んだ。


「…マルタ!やめて!」


ホアキンは、マルタの肩に手を置き、彼女を止める。マルタは、ホアキンの声に、我に返った。彼女は、ロベルトから手を離す。ロベルトは、咳き込みながら、苦しそうに息を吸い込む。


「…ホアキン様…」


マルタは、ホアキンに謝罪しようとした。しかし、ホアキンは、彼女の言葉を遮る。


「…マルタ。僕を、見捨てないで…」


ホアキンは、震える声で告げた。彼の瞳には、涙が浮かんでいた。彼は、マルタに、ただ、守ってほしいと願っていた。マルタは、ホアキンの言葉に、胸が締め付けられるような思いがした。


その時だった。倒れていたはずのロベルトが、懐から、小さな拳銃を取り出し、マルタに向けた。パンッ!銃声が響き、弾丸は、マルタの肩を掠めた。マルタは、思わず、よろめく。


「…マルタ!」


ホアキンが叫んだ。その瞬間、ホアキンは、クロエの手を掴み、ロベルトから逃げようとする。しかし、ロベルトは、素早く銃口をホアキンに向けた。


パンッ!


銃声が響き、ホアキンの足元に、弾丸が着弾する。ホアキンは、足に激痛を感じ、その場に倒れ込む。


「…ホアキン!」


クロエが叫んだ。その時、フェリックスが、ホアキンの前に立ち、ロベルトに銃口を向けた。


「…ロベルト様。これ以上、ホアキン様に手出しはさせません」


フェリックスは、冷たい声で告げる。彼は、ホアキンが自分を『餌』として使ったことを知っていたが、それでも、ホアキンを守るという命令を遂行するつもりだった。


「…フェリックス。お前も、私に逆らうのか…」


ロベルトは、憎しみに満ちた目で、フェリックスを見つめる。


その時、通路の奥から、複数の足音が聞こえた。ロベルトの増援が、到着したのだ。ロベルトは、獰猛な笑みを浮かべ、彼らに告げた。


「…全員、撃ち殺せ!一人残らず、だ!」


ロベルトの命令に、男たちは、一斉に銃を構えた。マルタは、肩の激痛に耐えながら、ロベルトの私兵たちを見つめる。彼女は、ホアキンを、そして、クロエを、この場所から、無事に連れ出すことができるのだろうか?彼女は、もう、自分一人では、どうすることもできない状況に陥っていた。


その時、彼女の背後から、声が聞こえた。


「…マルタ、大丈夫か?」


それは、フェリックスの声だった。彼は、ロベルトの私兵たちに囲まれながらも、マルタを心配していた。マルタは、フェリックスの言葉に、驚き、彼を見つめる。彼は、ホアキンを裏切ったように見えたが、それでも、彼女を心配してくれた。


マルタは、フェリックスに、小さく頷く。彼女は、再び、グロック19を構え、ロベルトの私兵たちに照準を合わせた。彼女は、まだ、諦めてはいなかった。彼女は、ホアキンとクロエを、必ず、この場所から、無事に連れ出す。


「…ホアキン。逃げるわよ!」


マルタは、ホアキンに叫んだ。彼女は、クロエに、ホアキンを抱えさせる。クロエは、ホアキンを抱えながら、マルタの後ろに続く。


パン!パン!パン!


マルタは、銃を乱射しながら、ロベルトの私兵たちに立ち向かう。彼女の銃弾は、次々と男たちに命中し、彼らを倒していく。しかし、男たちの数は、あまりにも多い。マルタは、弾切れを起こし、その場に立ち尽くした。


「…マルタ!」


ホアキンが叫んだ。その時、フェリックスが、マルタの前に立ち、HK416を乱射し始めた。ドガガガガガガガガガガガガガガガガッ!弾丸が、ロベルトの私兵たちを次々と撃ち倒していく。しかし、フェリックスの身体にも、無数の弾丸が命中した。彼は、その場に倒れ込んだ。


「…フェリックス!」


マルタは、彼の名前を叫んだ。フェリックスは、微笑みながら、マルタを見つめる。


「…マルタ。ホアキン様を、頼みます…」


フェリックスは、そう言い残し、息を引き取った。マルタは、フェリックスの死に、涙を流した。しかし、彼女には、悲しんでいる暇などなかった。彼女は、ホアキンとクロエを連れて、再び走り出した。


彼らは、地下の迷路のような通路を、ひたすら走り続けた。背後からは、まだ、銃声が聞こえる。しかし、彼らは、もう、立ち止まることはできない。彼らは、ホアキンの運命を背負い、ただ、前へと進み続ける。彼らの行く手には、果たして、光が待っているのだろうか?

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