革命前夜→Cold Edge
「叫べ!ライオット」愛の奇襲?!
始まります!!!
「玲がボーカルのバンド以外、
掛け持ちしてたバンド組まないことにする。」
「そうか。別に止めねぇ。
ただ他の奴らには自分から説明しろ。」
「なんで?」
莉沙の冷たい声が静かに響いた。
いつもの糸目でにこやかな表情はその時はなかった。
「自分に一番合うバンドだったから。」
「嘘だね。」
笑いを堪えながら伊月は茶化す。
「まあ。嘘。本音と建前ってやつ。それだけ。」
「スタジオよかったんだ。」
莉沙の問いかけに愛は答えなかった。
愛の無機質な表情は一瞬、不機嫌な表情へ変わる。
「お前が自分で選んだんだ。
俺は何も言わん。」
「海はいつもわかったように言う。」
「わかるだろ。長い付き合いだ。」
海と愛は小学生の頃から近所の幼馴染だ。
愛に音楽を始めさせ、ベースを教えたのも海だった。
そんな関係の2人に多弁は無用だった。
―沈黙を破ったのは愛だった。
その言葉はプレハブの空気を更に凍らせた。
「暫くしたら、僕たちは
海たちを越えることになる。」
「暫くしたら、ねぇ...」
伊月は飄々と受け流すように言ったが
Clown Crownの他のメンバーは違った。
「愛くん。自分が言ってることわかってる?」
「まあ、カッケェかどうかが全てだろ。」
「それは僕よりベース上手くなってから言えばいいね。」
莉沙、悠、暁明はぶっきらぼうに各々口にしたが、
高校生には似つかわしくない貫禄とプレッシャーが
愛の肌をヒリつかせた。
「言いたいことは言った。海。今日帰ったらモンハン。
ご飯食べたらボイチャ繋いで。9時くらい。」
「はいよ。」
愛はプレハブを後にした。
「ええん?
後輩にカマされてんで。うちら。」
莉沙が伊月を肩パンしながら笑う。
「愛があんな顔するの珍しいだろ。
おもろいもん見れるぞ。」
「いつも通り無表情だろ。
まあ、あいつも馬鹿じゃねぇんだろ?
音聴けば全部わかる。」
悠はピックを指でグニグニと曲げる癖を続けていた。
愛の口調は作者の弟がモデルです。