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叫べ!ライオット  作者: 石田左右
庵野高校軽音楽部編
3/10

ランデブーしようよ

「叫べ!ライオット」第3話「ランデブーしようよ」

始まります!よろしくお願いいたします!

「それじゃ秘密の場所へ

抜け駆けしよ〜!!」


部室兼練習するためのスタジオは

旧運動部部室棟のようだ。

所謂使われてないプレハブだ。


辿り着いた『秘密の場所』の外観は

不安になるほど古かった。

しかし、入ってみると想像以上に

綺麗に掃除してあり、中もかなり広かった。


「今日は新歓ライブあって機材を中庭まで運んでるから

そこの台にドラムがきて、右側にギターの機材、

左側にベースの機材が来るよ!」


「そうなんですね...ちょっと目まぐるしく環境が変わって

何も頭に入ってこないです。」


「ステージでは

上手(かみて)下手(しもて)っていうんだよ。

こういうのも徐々に教えてあげるね。」


この時の彼女は真剣さも垣間見えた気がして自分の発言が

失礼なものだったと反省した。

成り行きで入ることになってしまったが、部活動関係なしに彼女は先輩、上級生なのだ。

そして何もわからない僕に少しでもわかりやすく

説明してくれていたのだ。


プレハブに向かう間に聞いたところによると、

彼女と伊月は2年A組の特進科、

つまりは僕では太刀打ちできないほど頭がいいのだ。

この庵野高校の特進科は

偏差値が(すこぶ)る高くて有名だ。

そんな彼女や伊月海が軽音楽部にいることで、

失礼なことはわかっているが

僕の抱いていた特進科のイメージと解離していた。


「ねぇ〜。玲くんだっけ〜

聞いてる〜??」


「あ、すいません!」


「やっぱり私のこと可愛いって思ってたなぁー??」


「...舞さんがお喋りじゃなければ

思ってたかもしれません。」


「うわっ。ひどっ!

良く言われるけど〜... ってことは

見た目はやっぱり可愛いって思ってくれてるんだ。」


プレハブまで歩くのに少し距離もあったからだろう。

首筋からデコルテ、そしてYシャツの胸元へ

妖しく一筋の汗が流れていた。

上目遣いで見つめてきた彼女に

冷静に対処できる男はいるのだろうか...


―鼻の下が伸びそうなのを耐えていた時、

プレハブの扉が開いた。


生徒の自主性を重んじている庵野高校はともかく、

普通の高校であれば校則違反であろう長髪の男が

プレハブに入ってきた。

見た目はどう見ても不良だ。

国分町で派手に遊んでるチンピラ。

ガラの悪い美容師。古着屋の店員。

そんな印象だった。


恐らくバンドで必要な機材なのだろう。

大量の黒い箱やギターケースを抱えていた。

彼のせいでその荷物が非合法な何かしらに見えた。


「舞さんお疲れっす。

なんで伊月さんいないんすか?

手伝うのはいいんですけどライブやった本人がやらんのも

どうかと思うんですけど。おっ!新入部員?!」


「ごめんねー!

海くんにも注意したんだけどね〜。

紹介しまーす!星野玲くん!

希望パートは海くんが勝手にボーカルって決めてた!」


「本日付けで入部しました。

よろしくお願いします。」


「1年E組!黒澤白夜(くろさわびゃくや)

小学生4年からギターやってる。

よろしくな!」


人は見かけによらないという言葉は彼のためにあるのだろうと納得するほどに根明で爽やかな挨拶だった。

先ほどまで憶えていた第一印象を

改めようとしたその時だった。


長い前髪を掻き分けながら、

明るいキャラクターから一転して、

任侠映画の俳優のように彼は僕の目を真っ直ぐに見つめて尋ねてきた。


「お前本当に音楽好き?」

清竜人25 聴いてます。

根元凪さんの「シャカリキごじゃっぺラジオ」好きです。

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