牛ステーキはお好き?
マザーステーションに接続されているサブステーションは全部で5つあり、宇宙船で移動ではなく、ステーション内で移動する事が可能である。
マザーステーションとサブステーションの重力は同じになっている。
もちろん、サブステーションでもマーケット区画は重力制御されている。
サブステーションのマーケット区画に着き足を地面につける。
そして、あるものを忘れた事に気付いた。
「しまった。報告書を書くのに端末忘れた。」
食事でもしながら報告書を書こうと思っていたけど、忘れたものはどうしようもない。
マーケット区画にある、様々な肉を扱うレストランに来た。
以前に読んだ、ステーション案内に書かれていたステーキをメインにした肉専門の店。
5つあるサブステーションには、それぞれの分野に特化した専門店がある。
ちゃんと住居スペースもある、それぞれのステーション内で働く人は同じステーション内の住居スペースで暮らす事になる。
マザーステーションに備わっているマーケットより専門で特化したものが、4つのサブステーションとなる。
残りの1つは、サブステーション内では一番大きく、整備や開発等を行うステーションになる。
ちなみに4つのサブステーションには、服関連、レストランなどの食事処、スーパーなどの食品売り場、本や模型などの趣味系がある。
数多ある中から選ばれたものばかりで、完全に移住可能とする為に必要最低限となっている。
「あ、遅かったね。」
ミディアが、先回りしていた。
「ミディア、端末使ってなかったら貸して。」
私は、ミディアのテーブルに同席する。
「別にいいけど、おごりね。」
「勘弁して、特に即金で貰ってないし、今回は仕事にならなかったから、なるべく節約しないと……。」
ミディアに借りた端末で報告書を書きながら、牛ステーキを注文する。
「そっか。んじゃ、貸し1ね。」
「分かった。いつか返すわ。」
書き終わった報告書をメールで送りつけて、端末をミディアに返す。
「旧型の軍事衛星って、どうするんだろうね。」
「アレは私達が処理できるレベルを超えているから、軍が何とかするでしょ。」
「作業用マシーンだと、的だからね。」
「作業用マシーンでの作業も結構前から限界だったから、今の作業環境を見直すのにはいい機会でしょ。」
「でも、直ぐには無理でしょ。」
「そうなんだよ……。」
「作業用マシーンって空きあったっけ?」
「なかったかな?」
作業用マシーン全部で65機。
0型を旧型の軍事衛星に撃墜されたので64機になってしまったけど。
1型の10機は単独作業用船で、残りは5機搭載可能な遠距離作業用艦になっている。
2型も遠距離作業用艦仕様になっている。
作業員は、私が把握してるので50人ぐらい。
「ん?空きある筈だけど、人数満たないで遠距離作業用艦使ってるのがいるから、足らないだけかも。」
やっときた牛ステーキを、切り食べる。
「ステーション用の作業用マシーンが、使えればいいんだけど。」
ステーション用とは、ステーションの修理などを行う有線タイプの作業用マシーンとなっている。
「ステーション用は、エネルギーをステーションから貰ってるから、大改修になる。2型の追加分もいつ来るか分からないし。」
この宇宙空間では、デブリ処理が最優先になっている。
それだけ、デブリ問題は重要。
私は切ったステーキをフォークで刺し、それを口に運ぶ。
「動きが速ければ、旧型の軍事衛星だって問題にはならないんだけどな。」
現状の作業用マシーンには、無理。
ミディアは私の話を聞きながら、端末を見ながら笑う。
「確かに、今の作業用マシーンでは無理だね。面白い情報手に入れたけど、リトリスには教えない。」
「ん?私、何かやった?」
「作業用マシーンと単独作業用船を、パーにした。」
「それ、以外で。」
「内緒。明日が来てからのお楽しみ。」