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お肉食べたい

 私は冷静に宇宙服の微弱な遭難信号を発信しながら宇宙空間を漂う。

「はぁ~、酸素の残りも少ないか。」

 そもそも、長時間船外に活動を想定していな為、宇宙服の酸素量は少な目に設定されている。私は、一切動く事もせずに、ただ宇宙を漂っている。

「何とも、星がきれいに見える。」

 そういう感じで、今私は宇宙空間に漂っているのである。

「あ、ステーキ食べたいかも。」

 速度が一切変わる事無く宇宙空間を漂っていると、時間などの感覚が鈍ってくる。

 下手に体を動かすと、折角マザーステーションに向かって漂っているのに、軌道が変わってしまうので、船と作業用マシーンがどのような状態なのかも確認出来ない。

 作業用マシーンからの遭難信号を誰かが拾ってくれていればいいけれど、信号を拾われる前に作業用マシーンが破壊されていたら最悪。

 あとは、船の信号が途絶して、それをすぐに探してくれるかどうか。

「ステーキって、牛?豚?鳥?マザーじゃ置いてなかいから、サブステに行く気?」

 耳元で、声が聞こえる。

「たまには、重力が安定してるサブステ行かないと運動してるとは言っても重力下で行動しにくくなるし、牛ステーキなら肉食べた~って感じが味わえるでしょ。最近は、野菜やレーション系ばっかりだったから、ここら辺で調節しないと。」

 どうやら、救助が来たようだ。

「今回収するから、リトリス動かないでよ。」

 おとなしくも何も、体を動かしたらその分酸素を消費するからやばい事になる。

「酸素メーターがレッドゾーンに近いから、早く救助してもらえるとありがたいのですが。」

 私の視野でとらえることが出来ない位置から来ているのだろうけど、それが何とも不気味なので目を閉じ、すべてが終わるのを待った。

「遭難者を発見。救助作業を始めます。」

 体に伝わってくるこの感覚は、作業用マシーンのアームに挟まれてる感覚。

「船に、到着。作業用マシーンのロックを確認。」

 まさか、船に戻るまでアームに挟まれたままだとは、思っても見なかった。

「早く、アームから放してもらえない?」

「あ、今離します。」

 作業用マシーンのアームが、ゆっくりと開く。

 私はワイヤーフックで体を固定して、酸素メーターを見ると残り僅かになっている。

 ワイヤーフックの固定を解除して、迎えに来てくれた単独作業用船内に入る。

 私の単独作業用船とは違い、ハッチとドアの2段階になっている。

 船内に入り、私はシートに腰掛けヘルメットを外した。

「かなりヤバかった。」

 安堵で、ため息をつく。

「今回は、不運でしたね。」

 私を助けてくれた同僚が、作業用マシーンから船に移動してきた。

「ミディア、不運って言うのは偶然起こるもの。私に起こったことは、必然。」

「どういうこと?」

 私は宇宙服を脱ぎ、ミディアに渡す。

「その宇宙服の腕章部分。」

 ミディアは、私の着ていた宇宙服についている腕章を確認する。

「え!?0ナンバー。」

 0ナンバーとは、初期に作られた物。

 不具合や故障のオンパレードで、書類上廃棄されたとされている。

 しかしながら、物資が少ない宇宙空間ではリサイクルをしている。

 リサイクルと言えば聞こえはいいが、簡単な改修をした使いまわし。

「0ナンバーとは言っても、作業用マシーンと単独作業用船を失ってるんですよ。」

「やっぱり、旧型の軍事衛星にやられたか。」

「え?なんで落ち着いてるんですか?」

 ミディアは船の操縦席に座り、マザーステーションに向けて船を動かし始めた。


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