ぱーそなる?
私は飛び起きた。
夢にしては、とてもリアルな夢だった。
あの夢については、深く考えないことにしようと思う。
私は服を着替え、ゼリー飲料で空腹を満たして、整備や開発等を行うステーションに向かった。
整備や開発等を行うステーションの格納庫に到着すると、ジェイニーが真紅のチェックをしていた。
「リトリス作業員、お待ちしておりました。こちらへ。」
軍人には似合わないくらいの美人な女性が、パイロットスーツのフィッティングルームに案内してくれた。
宇宙服はフリーサイズの為、採寸等はする事はない。
パイロットスーツになると、体に合わせたサイズする為、定期健診などのデータを元に作られる。
「きつかったらすぐに修正しますので、おっしゃってください。」
私のサイズで作られたパイロットスーツに、袖を通す。
「問題ないです。」
「そうしましたら、オプションを取り付けていきます。」
そう言って美人な軍人は、私に推進器と酸素タンクが一体化した物を背負わせ、ヘルメットを被せる。
「緩さは、ありませんか?」
私はヘルメットの顎下にあるボタンを押して、ヘルメットのシールドを開ける。
「問題ないです。」
「シールドの開け方、ご存じなのですね。」
「作業員はいかなる状況でも対応出来るように、講習で習っているので。」
「そうなのですね。パイロットスーツのサイズに特に問題はなさそうなので、このサイズで作ってしまいますね。」
「よろしくお願いします。」
「リトリス作業員は、パーソナルカラーやマークはお持ちですか?」
「ないです。」
「そうですか……。好きな色と物はありますか?」
私は、パイロットスーツを脱ぎながら考えた。
「好きな色……。真紅、ですかね。」
「真紅ですか?」
「私の乗らせてもらっている、人型のカラーが赤系で、その色が意外と好きだった事に最近気付いたみたいな。」
「なるほど、真紅ですね。希望に添えるように、色探してみます。」
「パーソナルマークは……。眼帯ウサギなのですが……。」
「眼帯ウサギ?ですか?」
左目に眼帯を付けて、右頬に古傷のある少しばかり渋いウサギ。
「あ、眼帯ウサギのシューティングスターですね。」
昔、アニメの規制が緩かった時にやっていた、コミカルなアニメである。
正確なタイトルは、『平原野兎戦争』。
銃や大砲から出てくるのは、ウサギが好きなニンジンや木の実など。
やられたウサギも、次の週には普通に登場するくらい緩い。
その中に出てくる、グレーの毛並みで左目に眼帯を付けて、右頬に古傷のある軍人ウサギのシューティングスターが渋くて好きだった。
「アレって結構古いアニメで、眼帯ウサギは2回ぐらいしか登場してませんでしたよね。著作権があるので、確認してみますね。多分、大丈夫だと思いますけど。」
ちなみに『平原野兎戦争』の最終回は、犬や猫などが出てきてウサギ同士で争ってる場合じゃないと言った感じで終わっていた。
「パイロットスーツの完成を、楽しみにしててください。」
美人な軍人は、私の脱いだパイロットスーツなどを持って、フィッティングルームを出て行った。
1人残された私は、軽く身だしなみを整えてから格納庫に戻った。