射撃は……。
射撃訓練場は、まるで射撃ゲームの様な特定の位置から縦横無尽に動く的を撃つ使用になっている。
真紅で運んでいた大型コンテナを、床に下ろし開ける。
「始めに、ハンドガンでの射撃です。」
オペレーターに言われた通り、大型コンテナからハンドガンを選んで真紅に持たせ射撃位置に移動する。
オペレーターの掛け声で、射撃をスタートさせる。
ハンドガンのテストが終わるとライフル、バズーカ、スナイパーライフルの順でテストを行った。
正直、私は射撃が得意な方ではない。
「本日のテストは、これにて終了です。射撃武器は、大型コンテナに入れてください。大型コンテはその場に置いたまま、真紅を格納庫に戻し次第終了です。」
オペレーターに言われた通り、ハンドガンなどの射撃武器を大型コンテナに収めた後、真紅を格納庫に戻し、私は整備や開発等を行うステーションを後にした。
今日は寄り道をせずに部屋に戻り、ゼリー飲料で空腹を満たしながら、今日の事を思い出す。
今日、真紅は長時間稼動していた。
私はテストの合間に、真紅のエネルギー残量を確認していたけど、エネルギーは思ったより減っていなかった。
ビーム使用のハンドガンやライフル、スナイパーライフルは、真紅からエネルギーを供給して使用する。
ビームはエネルギーの消費が激しいので有名だけど、動力炉をACEに変更した為か、真紅のエネルギー消費は少量で済んでいた。
AECは、まるで無限にエネルギーを生み出しているかのように私は感じた。
そう考えると、一体誰が何の為にAECを作り出したのだろうか?
白衣の男の説明では、AECは『とある場所で発見回収された未知の結晶を元に作り出された。』と言っていた。
つまり、未知の結晶は限られた量しかなかったと考えられる。
地球上で発見された物であれば、他にも存在する可能性はある筈。
けれど、採掘等を行っていないという点と、世界的なニュースにすらなっていない点を考えると、何処からか飛来したと考えるのがしっくりとくる。
しかし、最近は隕石などの飛来物は観測されていない。
あまり考えたくはないけれど、地球外生命体の忘れ物説も出てくる。
私の思考がおかしな方向に向いている時、部屋の端末にメールが届いた。
差出人は、ジェイニー・コスロ。
私の知らない人物からの、メールだ。
内容は、『真紅の調整に、膨大な時間がかかる。明日は、休みとする。』と言うものだった。
この文面から私は、ジェイニー・コスロと言う人物は白衣の男ではないかと思った。
理由としては、人型で広まっている真紅をわざわざ機体名で読んでいる点。それと物事の決定権を持っている人物であるという事。
あの現場で一番偉いのは、白衣の男。
つまり、白衣の男がジェイニー・コスロという事になる。
きっと本人も、自分が名乗っていない事を忘れている。
まぁ、私も名前を聞かなかったのが悪い。
白衣の男と思われるジェイニーに、『分かりました。』とだけ返信した。
私は、急遽出来てしまった休日をどう過ごそうか考えながら、ベッドで眠りについた。