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お別れ
最悪な夢だった。
目を覚ますと、視野がぼやけていた。
寝ている間に、涙が出ていたみたいだ。
予定していた目覚めの時間より早く起きてしまったので、部屋で簡単な食事して部屋を出た。
マザーステーション内のマーケットで、一輪のアズマギクを買った。
アズマギクの花言葉は、尊い愛、別れ。
私はアズマギクを、別れと言う意味で買った。
一輪のアズマギクを持って、私はマザーステーションの管理室へ行き、宇宙葬で使われた場所の使用許可を取った。
宇宙服を着てアズマギクをカプセルに入れて、私は地球に向けてカプセルを投げた。
あの日、別れを言えなかったけど、今なら言える気がする。
心はまだ少し痛むけど、私は向き合わないといけないのだと思う。
「先輩……、遅くなりましたけど、今までありがとうございました……。」
ゆっくりと地球に向かっていくカプセルに、私は頭を下げる。
涙を堪えながらハッチを閉めて、近くの端末で管理室に終わった事を連絡した。
気圧が戻ったのを確認後、宇宙服を元の場所に戻して、私は整備や開発等を行うステーションに向かった。